組合側勝利の不当労働行為労働委員会救済命令が出された

2017年9月27日、東京都労働委員会から交通機械サービスを相手として申し立てていた団体交渉拒否事件についての救済命令が出された。この命令は会社・使用者側の団体交渉における組合側への対応が不誠実であり、団体交渉拒否に当たることを認めた組合側の勝利の命令であった。東京都労働委員会は、この命令において、なんぶユニオン組合員への雇用契約が更新されなかったことについて、必要な資料を提示し、更新拒否の根拠を団体交渉において、誠実に組合側に説明することを命じたのである。

会社側は雇用契約更新拒否の理由について、仕事上のミス、車両部品の洗浄の不備であると団体交渉で説明した。そこで組合側は「それは何回あったのか、」「グループの作業をどうして一人の組合員のミスと特定できるのか、」と追及した。これに対して、会社側は「何回もありました」とか、「小さい会社だから誰がやったかわかる」と答えたが、組合側の再三の要求にもかかわらず、回答の根拠や裏付ける客観的な資料は何も示さなかったのである。このような団体交渉での対応が不当労働行為、不誠実断交にあたると認定されたのだった。

労働委員会は、命令の判断において、団体交渉における会社側の対応を逐一事実認定したのち「以上の経緯からすれば、会社は、A君の契約不更新の理由について、口頭で一定程度回答しているものの、それ以上の説明を行う姿勢を見せず、それを裏付ける根拠として組合の求める資料も一切開示しなかったという不十分な対応に終始していたのであるから、組合に対し必要な説明を尽くしたとする会社の主張は採用することができない。」

また「団体交渉が行き詰まり状態であった」という会社側の主張についても、「組合は第2回団体交渉において、事実を示す資料を提出すれば、検討する旨述べ、第3回団体交渉においても、団交が進展しないのは会社が根拠を示していないことが理由である旨述べていることにより、合意に向けての団体交渉が進展する可能性はあったといえる。また、そもそも上記の判断のとおり、会社が必要な根拠資料を一切開示しないなどの不十分な対応に終始したことが団体交渉が進展しない主たる要因であるから、主張を出し尽くして行き詰まりの状態になったと認めることはできない。」と命令の中で述べた。

我々は団体交渉に出席した組合側交渉員を証人として出し、団体交渉の実態を証言した。その一方、被申立人である会社側は、彼らの主張を立証するための証人をだすことができなかった。このことは、会社側の「団体交渉では誠実に対応した」との主張が虚偽であり、不当な団交対応、不当労働行為意思の存在が明らかになることとなった一つの根拠と考えられる。

今後、この命令に従って開かれる団体交渉においての会社側の誠実な対応がなされるかどうか注目していかなければならない。

 

 

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