入管のブラジル人「制圧」は違法 国に賠償命令 東京地裁判決

入管のブラジル人「制圧」は違法 国に賠償命令 東京地裁判決

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毎日新聞

東京出入国在留管理局=東京都港区で、本社ヘリから

 東京入国管理局(東京都港区、現・東京出入国在留管理局)収容中に職員から違法な制圧を受けたとしてブラジル国籍のアンドレ・クスノキさん(35)が国に500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(下沢良太裁判長)は23日、一部の制圧行為が違法だったと認め、10万円の賠償を命じた。

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 判決によると、クスノキさんは2016年11月に刑事事件の有罪判決が確定したことから、強制送還のため18年1月に東京入管に収容された。同10月に茨城県牛久市の東日本入国管理センターに移送されることが決まった際、居室のトイレ内にバリケードを作って立てこもり、複数の職員から連れ出されて後ろ手に手錠をかけられ、別室に運ばれた。別室では、マット上でうつぶせ状態のクスノキさんの頭を職員が約8分間押さえ付けた。

 判決は、別室への移動について「興奮状態のクスノキさんが自身や職員を傷つける危険性があった。やむを得ない措置だった」と指摘したが、別室での制圧について「クスノキさんの抵抗は相当程度弱くなっており、危険性が減じていたのに頭部を強く押さえ付けており、相当ではなかった」と判断した。

 クスノキさん側は訴訟で制圧により左肩に後遺障害が残ったと主張したが、判決は両肩は圧迫されていなかったとしてこれを退けた。一方で、顔にうっ血が残るほどの強い力を加え続けられたとして慰謝料を10万円と算定した。

 現在、同センターから仮放免中のクスノキさんは判決後の取材に「入管の職員は、最初から力で制圧しようとするのではなく、説明したり、話し合ったりする姿勢を持ってほしい」などと話した。東京出入国在留管理局は「判決の内容を精査して、上級庁や関係機関と今後の対応を協議する」とコメントした。【遠藤浩二】

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