障害労働者、不安定・周辺労働で「労組」も難しく  民主労総、障害者労働者権利保障ガイドラインを発表

障害労働者、不安定・周辺労働で「労組」も難しく

民主労総、障害者労働者権利保障ガイドラインを発表

 

ユン・ジヨン記者 2021.01.06 15:23

 民間大企業が障害者雇用義務を回避したり、 障害者労働者を不安定な周辺業務で追いやるケースが多いことが確認された。 またアルバイト形式で採用された障害労働者たちは、 労働組合の組織対象として見なされなかったり、 組織化が難しく権利の要求に大きな制約を受けていることが明らかになった。 民主労総をはじめとする労働界は、 障害労働者の権利保障のための団体協約締結および 障害者の労働権保障のための制度改善を用意する計画だ。

 民主労総は1月6日午前、 ソウル市中区のフランシスコ教育会館で記者懇談会を開き、 民主労総障害者組合員実態調査結果を発表した。 合わせて調査結果を基礎に障害労働者の権利保障のための 模範団体協約案およびガイドラインを提示した。 先立って全国不安定労働撤廃連帯(撤廃連帯)は昨年7〜8月の間、 民主労総傘下の123の事業場と障害者組合員を対象として アンケート調査および面接調査を進めた。

「障害労働者」、不安定・周辺労働で労組も難しく

 実態調査の結果によれば、 いわゆる良い職場と呼ばれる大学、病院、金融圏などの大企業が 義務雇用割合を満たすために、 非正規職単純業務中心の障害者雇用を作り出していることが明らかになった。 撤廃連帯労働権研究所のチャン・ギヨン所長は 「規模が大きい非製造業の私企業では、 障害者義務雇用を守らなかったり周辺業務に時間制・短期契約職の非正規職として障害者を採用し、 障害者義務雇用割合をぎりぎり満たしている水準」とし 「はなはだしくは、障害者用の業務を作ったりもする」と説明した。

 その上、労働組合がしっかりしている事業場の場合、 無期契約職に転換されるが昇進などの差別は相変らず解消されていない。 実際に、S病院の場合、2012年に6お月契約職障害者労働者を数十人採用して、 2年になる前に契約終了を試みた。 これについて労組は会社と交渉をして彼らを無期契約職に転換し、 組合員に組織したことがある。 だが会社は障害者業務を単純業務に限定し、業務循環と昇進体系から相変らず排除している。

 これ以外に不安定雇用形態で採用された民間大企業の障害労働者たちは、 会社の雇用システムに統合されておらず、労組の加入も容易ではない。 金融会社労組の幹部は実態調査で 「アルバイトのようなものだけで義務雇用割合を満たすので (事業場の障害労働者を)組合員に加入させるのも難しい」と打ち明けた。

 またチャン・ギヨン所長は 「私企業では障害者採用、業務や施設などの便宜提供などを社規で明示する場合はないと見なければならない」とし 「勤労支援の制度も私企業ではまったく認知できなくなっているように見られる」と説明した。 2019年、民間企業の障害者雇用率は2.79%で、義務雇用率3.1%に相変らず達しない。 特に30大大企業で義務雇用率を守っている事業場は1か所しかないという。 また「障害者経済活動実態調査」によれば、 2019年の障害者賃金勤労者のうち43.9%が臨時日雇いで、 全人口の臨時日雇い割合の31.4%をはるかに越えた。

 この他にも公務員および一部公企業などは、 私企業よりも義務雇用割合を遵守しているが、 業務配置の制限で人事考課と昇進などでの間接差別は相変らず存在する。 障害認識改善教育も義務教育の一つとして施行されているが、 個別のオンライン教育資料の視聴程度に留まっている。 教育内容も障害者労働者の権利保障ではなく、障害者配慮などに焦点が合わせられている。 チャン・ギヨン所長は 「小規模用役会社の雇用は業務分担や昇進、昇級体系がないため、 確実に差別することもない」とし 「製造業の工場生産職の場合も会社次元でまず障害者労働者に対する便宜提供をする場合は殆どない」と明らかにした。

民主労総、障害者労働者権利保障ガイドラインを発表

 民主労総と撤廃連帯は実態調査の結果に基づいて、 障害労働者の権利保障のための模範団体協約案を発表した。 撤廃連帯のキム・ヘジン常任活動家は 「多くの労働組合で団体協約に障害者差別禁止条項を含んでいるが、 ほとんど包括的宣言に終わっている」とし 「『差別的処遇』の具体状況が指摘されず、 権利保障のための積極的内容が含まれていない」と診断した。

 これに伴い、民主労総は採用、差別禁止、障害者労働者業務支援、 健康で安全に働く権利、尊重などの内容を入れた具体的模範団体協約案を作る計画だ。 採用にあたって「会社は障害者義務雇用率を守る」という積極的要求を表わして、 「障害者という理由で別途の業務を付与したり、雇用形態を変えてはならない」と明示し、 昇進、昇級、成果評価、雇用形態などの間接差別を防ぐということだ。 また障害類型に合った業務支援、安全装置用意をはじめ、 障害者労働者の苦情処理のための別途機構の設置などの事項を明示する計画だ。

 労働組合でも障害者組合員実態調査を始めて、 全組合員を対象にした障害者労働権教育と障害労働者の労組活動参加のための便宜提供、 障害者組合員集団的な会の構成などを推進するべきという要求もあがった。

 全国障害者差別撤廃連帯労働権委員会のチョン・チャンジョ幹事は 「先日の民主労総選挙で、候補者に障害者労働権関連の質疑書を送った。 最低賃金適用除外廃止闘争に共にできるのか、 民主労総傘下の労組妥協案に義務雇用率遵守と障害者労働権改善などを含むこと、 公共部門の良質の雇用用意闘争に立ち上がること、 労組内に障害者委員会を構成することに対する質問だった」とし 「すべての候補が肯定的に答え、 当選したヤン・ギョンス民主労総委員長もこの前、また肯定的に答えた」と説明した。

 民主労総のチョン・ヘギョン副委員長は 「民主労総に障害者の組合員は多いが、 労組が彼らの権利保障のため何をするべきか、 彼らがどのように働いているのかについての調査はなかった」とし 「恥ずかしいが民主労総も障害者義務雇用率を守らずに課徴金を払うこともあった。 これから民主労総は障害者の組合員と会って実態を知ることから始めて、 労組がするべき課題をきちんと発展させていくことを約束する」と明らかにした。

 一方、公共運輸労組障害者労組のチョン・ミョンホ支部長は 「これまで障害者は主に福祉の受恵者とされてきたが、 障害者運動の始まりも労働権闘争だった」とし 「障害労働者が労働をしながら保障されるべき権利を守り、 労働できる権利も保障されなければならない」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)

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