〝絶対に負けない! 耕し続ける〟  東京高裁 農地取り上げ強制執行の判決

〝絶対に負けない! 耕し続ける〟
 東京高裁 農地取り上げ強制執行の判決

写真 控訴棄却の反動判決に怒りを爆発させ、全参加者が東京高裁に向かって抗議のシュプレヒコール【12月17日 東京・霞が関】)

(写真 判決に先立ち市東孝雄さん【左】を先頭に「絶対に農地を守り抜く」と150人が東京高裁包囲デモ【12月17日 霞が関】)

 12月17日、東京高裁第4民事部・菅野雅之裁判長は、三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんに対する最高裁の農地強奪決定による強制執行を阻止するための請求異議裁判で、控訴を棄却し、強制執行を認める反動判決を下した。
 絶対に許すことはできない! 市東さんと反対同盟顧問弁護団は、直ちに上告して闘うことを明らかにした。反対同盟と支援の労働者・農民・学生・市民150人は、この不当判決を徹底的に弾劾し、市東さんの農地を実力で防衛することを固く誓い合った。
 開廷に先立つ午前11時30分、日比谷公園霞門に闘う仲間が全国から結集し、決戦本部長・太郎良陽一さんの司会でデモ前の打ち合わせを行った。
 マイクを握った東峰の萩原富夫さんは、「どのような判決が出ようと、私たちは絶対に市東さんの農地を守り抜く」と宣言した。
 動労千葉の中村仁書記次長、関西実行委、市東さんの農地を守る沖縄の会、市東さんの農地取り上げに反対する会の連帯発言を受けた上、意気高くシュプレヒコールを上げて反対同盟を先頭にデモに出発した。
 デモは官庁街で働く労働者、裁判関係者などの注目を集め、宣伝カーからは婦人行動隊・宮本麻子さんによる「市東さんの農地を奪うな」との訴えが響き、霞が関を席巻した。

執行停止申し立て

 ものものしい警備態勢が敷かれた102号法廷は、緊張感で満たされた。控訴人席には市東さんと弁護団が並ぶが、被控訴人NAA(成田空港会社)の代理人は逃亡し空席。
 午後2時、菅野ら3人の裁判官が入廷。菅野が判決主文を読み上げる。「①本件控訴を棄却する。②強制執行停止決定を取り消す。③費用は控訴人の負担。④この判決で②は仮執行できる」—-即座に弾劾の声がたたきつけられた。読み終えるや否や3人の裁判官はそそくさと逃げ出した。この間1分足らず。
 全員が裁判所正門前に集まり、太郎良さんのリードで不当判決への怒りに燃えた抗議のシュプレヒコールを裁判所に向けて何度もたたきつけた。市東さんと弁護団は直ちに最高裁に上告手続きをした。

決意語る市東さん

 弁護士会館で開かれた報告集会の冒頭、市東さんがあいさつに立った。「一審判決に輪をかけた不当判決でした。これまで多くの方々の述べた証言をまったく反映しておらず、絶対に認めることができない。でもこれで負けたわけではない。耕作権裁判もある。天神峰でこれからも畑を耕していくという気持ちは変わらない。みなさんのご支援をよろしくお願いします」
 市東さんの不動の決意に参加者全員が感動して、熱い拍手を送った。
 続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が、交付された判決全文を徹底的に弾劾した。全国農民会議共同代表の小川浩さんは、「許しがたい不当判決。市東さんだけの問題ではなく、関西生コン支部への弾圧と同じく全国の労働者・農民・人民にかけられた攻撃だ。絶対に市東さんの農地を守り抜こう」と熱く語った。
 最後に萩原富夫さんが、1月10日に新年の現地デモと団結旗開きを行うことを告知し、強制執行を止めるための反対同盟へのカンパの集中を呼びかけた。

「弾劾声明」を発表

 午後4時からは司法記者クラブで、反対同盟と弁護団による記者会見が開かれた。両者連名の「弾劾声明」を配布し、旅客激減が続く成田空港が農地を奪おうとする暴挙に対し、徹底的に闘うことを宣言した。
 菅野の「判決理由」はでたらめで矛盾に満ちている。空港公団(現NAA)が「二度と強制的手段を用いない」との社会的公約を踏みにじったことを無理やり正当化するために、内容がスカスカの一審・高瀬判決に大幅な補正・補強を施した。新型コロナで航空需要が激減し、B滑走路を直線化することが無意味化している現状について、「将来は需要が回復し必要になるかも」などと根拠のない楽観論まで述べ立てた。そして最後に「当事者間で協議し、平穏、円滑に土地の明け渡しの実現へ最後まで努力を」などと「付言」。
 冗談じゃない! 「強盗に遭ったら平穏、円滑に金品を差し出せ」と言うのか。菅野判決もろとも農地強奪攻撃を粉砕しよう。NAAを大破産に追い込もう。不屈の反対同盟と共に労農学連帯の実力で市東さんの農地を守り抜こう。

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