団結した労働者は絶対負けない! 新年労働者座談会

新年労働者座談会
 ~コロナ下でよみがえる階級的労働運動~
 団結した労働者は絶対負けない!

(写真 一斉に「菅やめろ」のボードを掲げる11・1労働者集会参加者)

出席者
JR 鉄尾竜二さん
医療・福祉 福士莉子さん
教育 児守 修さん
自治体 町村匡行さん
郵政 配原友也さん
合同労組 地井吉平さん
司会 編集局

 昨年の11・1全国労働者総決起集会で、主催3労組(関西地区生コン支部、港合同、動労千葉)が「今こそ闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」と新たな決意を胸に呼びかけた。その課題と展望はどこにあるのか。職場・地域で新自由主義攻撃と闘い抜いてきた各産別の労働者に、「コロナ下でよみがえる階級的労働運動」をテーマに大いに語り合ってもらった。

11・1集会
 団結し闘う誇り復権 鉄尾
 集会の中身伝えたい 地井
 医療ストで情勢一変 福士

 —-昨年の11・1全国労働者総決起集会の地平は。
 鉄尾 昨年の11月集会は23年間のなかでもエポックメイキングな、新時代を切り開いたと感じさせる集会でした。うちの組合員も「いつもより参加者が多いんじゃない」って元気になった。
 ストライキを打ち抜いた船橋二和病院労組も登壇しました。自分も7月10日の第1波スト支援行動に参加して大感動。あきらめないことの大切さを身をもって教えてくれ、歴史的な闘いの始まりの日だと実感しました。動労千葉の反合・運転保安闘争が医療現場の実践で示されたと感じ、これはどの産別でもできる闘いだと確信を深めました。印象的だったのは、ストを打ち抜いた組合員の「もう私は変わっちゃったから」という言葉。動労千葉の組合員も、1985年の第1波ストの時に何千人もの機動隊に囲まれて闘ったことが今でも労働者として生きる上での誇りになっています。二和労組のストも、団結して闘う誇りが復権されたことが見えて感動的でした。
 児守 コロナ下で僕ら公務員労組も、春闘もメーデーも定期大会もない。そういうなかで11・1日比谷に集まった仲間が3労組を先頭に、職場でこれまでにも増して激しく闘った1年間だった。コロナで窒息させられることに対してノーと言ったし、新自由主義ですべてを壊してきたやつらがこの期に及んで仕事も命も奪おうとすることに対して、職場の労働者の根底的な怒りを解き放った。それだけですごいこと。動労千葉の関道利委員長が発言したように、まさに「勝ち抜いている」仲間が全国から結集した。時代にふさわしい闘いをみんなでできたとすごい感動があったし、確実に2021年につながる闘いの場になりえたと感じました。
 福士 コロナの重圧もすごいなかで闘う主体が集まり、大きな手応えを感じました。全世界で巻き起こる労働者民衆の決起が日本でも起こる気がして、とても楽しかったです。11月集会を前に職場では2日間で60人近くの「都立病院つぶすな!」署名が集まり、都立病院独法化阻止決戦を職場で切り開けたことが大きかった。
 配原 11月集会を闘い抜き、「原点に戻った」と感じました。郵政民営化から13年、民営化で破壊されてきた職場の団結を取り戻すために、職場の仲間と11月集会に参加した。集配という仕事柄、同じ職場でもなかなか会えないけれど、情勢を語ったり、職場ビラを一緒に作ったりするなかで、その積み重ねが実って歯車が動き出した。
 また、他局の非正規職の仲間がスキル評価制度をめぐって、団交を通した実力闘争を開始した。そのプレッシャーに負けずに11月集会に結集してくれた。その闘いに職場の仲間も合流し、互いに獲得され合ったことも大きかったと思います。
 町村 3労組の発言の迫力がすごかった。3労組が中心に据わり、そこにさまざまな労組や市民運動が結集していることがはっきり見えた。東京過労死を考える家族の会の中原のり子さんが、過労死を撲滅するには「労働組合の組織率をアップさせること」と発言した。闘う労働組合をつくろうと闘う僕らの思いが伝わったと感じました。
 地井 コロナ下で24時間365日、どのお客さんから感染するかわからないコンビニワーカー、エッセンシャルワーカーの怒りが湧き上がるなかで職場でも闘い抜き、資本の処分攻撃にも勝ち抜いて11月集会に登場できたことが感動的です。動労千葉の故・中野洋顧問の「天下国家を語ってセブン―イレブンを握れ」という言葉に確信をもってずっと闘ってきて、ここ1、2年でやっと目に見える形になった。全国からの相談の嵐で夜眠れないくらいです。
 11月集会は「労働組合で闘えば展望が見えてくるんだ」ということ、「社会を回しているのは私たち労働者なんだ」ということをはっきりさせた。実際に管理職はリモートワークで在宅勤務で、コンビニの現場で品出しや接客をしているのはダブルジョブ、トリプルジョブの労働者。11月集会の中身を職場の仲間やコロナで解雇されている何万という人たちに知らせたい。もっと外に打って出ていこう。

「医療は社会保障」の闘い全国に広げ

(写真 全国の医療・介護・福祉労働者が白衣でデモ【11月1日 東京・千代田区】)

 —-白衣のデモ隊列も印象的でした。
 福士 このかんの医療労働者の闘いはスケールがでかい。情勢をちゃんと見て、しかも組合員の団結にかけきっている。職場の問題だけじゃなくて、新自由主義下でコロナの前から医療現場がずたずたにされてきたことをストレートにスローガンにして「医療は社会保障だ」と。医療・介護・福祉労働者が今立たなくちゃいけない、こんな小さな労働組合でも闘える、全国の医療労働者の闘いのうねりと一緒なんだととらえ返して、二和に続きうちの組合でもストができて本当によかった。でも、ストを1回打つというのは本当に大変なことなんですよね。
 児守 資本との間の緊張感と組合員との間の緊張感とね。
 福士 そうそう。それと、非組合員の思いもどれだけ受けてできるかと。今回のストは職場全体を獲得するんだ、全国の医療・介護・福祉労働者の闘いにするんだって構えた。私たちのストは本当に歴史的な闘い。世界革命はできるなと実感した。
 児守 これまでなら医療労働者のストは「やってはいけないこと」だった。「患者を放っておくのか」みたいな。教師だったら「子どもを放っておくのか」と。コロナ下での医療労働者のストはそういう「常識」をぶち破っている。
 とりわけコロナというのは階級性を全部封じ込めて黙らせる。教育労働者で言えば、全国一斉休校で経産省が「学びを止めない」というオンライン教育の大キャンペーンを始めて、それをやらない教師は「非国民」みたいにされそうになった。組合執行部や内輪では反対と言えても、それを全職場に訴えるとなるとすごい決断が迫られる。でも、いきなり明日から授業動画を配信しろという上からの方針に現場には不安の声。組合どうするのって電話が寄せられる。それで、ともかく立とうとなった。動き出したら、現場から待ってましたとばかりに組合に激励の手紙とか署名、怒りが寄せられてくる。それをビラにして返す。組合員、現場との呼吸は命綱ですよね。コロナのなかにこそ階級矛盾のすべてが表れているということを職場の労働者や地域の仲間と議論してつかんだことがすごく大きい。
 医療労働者のストは重たいふたをバーンとひっくり返した。これが世界中で民衆が生きるための当然の叫びとして市民権を得ている。じゃあ教育労働者はいつその重しをひっくり返してストを打てるのか。そこが問われる21年じゃないかなあと。
 福士 ストで医療系の職場を止めると、「お前、患者を殺すのか」って言われそう。「じゃあ、私たちは死んでもいいのか!」っていう叫びがストには体現されていると思う。緊急事態宣言下の5・1メーデーを厚生労働省前で闘った。あれがあったから職場でストも打てた。
 職場の御用労組はスト前日に一時金超低額回答と人員削減で妥結したけど、それでもストを打ったのは、この現実に対して労働組合が今立ち上がらなかったらどういう状況になるのかを訴えたかったから。それが本当に情勢にかみ合った。医療労働者のストは日本の階級情勢を一変させたし、自分も動労千葉と同じ闘いができたと実感しています。
 児守 医療労働者には病院の屋上からブルーインパルスに手を振らせ、自衛隊の医官が迷彩服で病院に入っている。ストをやらなかったらコロナが改憲に一気につなげられた。だけどストで労働者の団結が自分たちの労働も患者の命も守るということがすごくはっきりした。
 福士 だから「医療は社会保障」なんですよね。命を守るためにはお金がかかる。それを民営化したらどうなるかというのがコロナで暴かれて、「絶対にここは譲っちゃいけない」ということを医療労働者の闘いは示している。2年前のストの時は動と反動がすごかったんですけれど、今は「動」しかないんですよ。共感しかない。多数派労組の組合員さんが「あっちの組合はもうダメね」って、うちの組合員みたいな感じで話してくれるんです。「ストライキ打ってくれてありがとう」「闘ってくれてありがとう」と。
 スト前に職場で「一言メッセージ」を集めました。ストに間に合わなかった人に声をかけたら「ごめんなさい、今からでも遅くないですか?」って、手帳にはさんであったメッセージをくれた。「もうこれ以上の人員削減はごめんです。やめてもらいたい」と。労働組合として、こういう仲間がいるなかで闘わないわけにはいかない。職場の仲間の思い・怒りを体現したストを打てた。
 町村 来年は医療労働者だけで1万人くらい集まりそう。
 福士 ねー。それはまたそれでハードルが(笑)。
 児守 闘った後でも労働者の「熱」が持続するのが、これまでとの大きな違い。教労の闘いも、この4、5月にコロナ下でオンライン反対闘争をぶち抜いた後でも、団体交渉や定期大会にここ数年になく集まってくる。いったんは国家が税金でタブレット端末を全生徒に配るわけだけど、みんな納得していないし負けていない。第2戦、3戦を闘う機運が普通の労働者のなかにあふれ続けている。次はどうするとボールが僕らに投げ返されている。僕ら次第で、いくらでも団結は拡大していく。そういうなかで3労組や「大行進」の運動ですべてを獲得できるという道筋が見えた。僕らも動労千葉のような闘いができるという手応えをつかんだ11月集会だった。だから11月集会を人に見せたい、知らせたいと駆り立てられるんだと思います。

3労組共闘
 具体的実践で共闘深まる 町村
 全労働者の旗頭になる時 児守
 国鉄闘争の原点に返った 配原

(写真 東京のセブン―イレブン本社に要請書を提出【11月16日】)

 —-新しい段階に入った3労組共闘については。
 町村 この数年間の具体的な闘いのなかで3労組共闘が深化していった。特に大阪都構想粉砕の闘いでは、2015年の住民投票の時とは僕らの構えが変わった。これは労働組合をつぶし地域を破壊する改憲攻撃だということを「改憲・戦争阻止!大行進」の議論ではっきりさせ、組合を軸に地域全体を獲得しようと打って出た。入管集会も反原発闘争も全部、都構想への反撃として構え直して、全体の力で勝利した。
 関生弾圧については、改憲攻撃であり安倍政権との直接対決だととらえてきた。僕らも弾圧を受けるけど、時代をつかみ、それを踏み台にもっと元気になる。11月集会で関生支部の武谷新吾書記次長が「新たな団結と闘いの条件を敵がつくってくれている」と発言した。考え方、時代認識の内容においても一致しているなと感じています。
 児守 関生支部とは、職場闘争の共闘を土台に、一緒に大行進運動を立ち上げて「改憲・戦争のための関生弾圧を許さない」ことを軸に闘うなかですごい団結が生まれている。関生の人たちは、悪戦苦闘しながらも民営化・解雇絶対反対の職場闘争をブレずに貫く僕たちに常に連帯してきてくれた。だからお互い必然的に引き合った。動労千葉なくして関生・港合同との関係もなかった。やっぱり国鉄闘争から始まったわけじゃないですか。これまで3労組が雨風を受けながらやってきてくれて「ついに芽が出てきた」「これからは俺らの時代だ」と思える時代がきた。
 町村 青年集会実行委員会での関生弾圧についての討論でも、国鉄分割・民営化がどういう攻撃かとらえきったからこそ1047名闘争が残り、100万人支援陣形が形成され、階級的労働運動が守り抜かれたと議論してきた。時代認識と国鉄闘争の経験が関生弾圧に立ち向かう力になっている。
 鉄尾 小さくても労働者階級全体の利益や労働運動全体の前進という観点を忘れない。資本、権力と労働者の関係を絶対にあいまいにせず妥協なく闘い抜くことで全部が見えてくる。
 児守 国鉄分割・民営化から30年、新自由主義で資本が跡形もなく消し去りたかった階級的なものをこの3労組で必死に守ってきてくれた。新自由主義の極致であるコロナ禍で「もう黙ってられない」となった時に、3労組が一気に全労働者階級の旗頭に押し上げられた。
 地井 このかん関生から闘い方を学んできた。コンビニ加盟店オーナーさんは24時間、店舗に出ずっぱりで、二十数年間1日も休んでいない人もいる。でも中労委では「労働者性はない」という反動決定が出た。中小経営者とされる加盟店オーナーの松本実敏さんは闘って契約解除攻撃を受けながらも、11月集会で明るく元気に登壇した。私たち労働者が中小の事業者と組み、独禁法違反を突いて資本を追いつめてきた。これは関生の闘いから学んだことです。これと動労千葉の「義理・人情」が結びつけば最強の労働組合がつくれる。全国の闘う仲間がコンビニを回ると、みんな「期待しているよ」と言ってくれる。革命をやるには中小経営者も農民・漁民も含めて人民を労働者の味方につけないと。今、そこに手が届きつつある。コロナでもうけている一握りの資本家が敵としてはっきり見える存在になってきたと思います。
 配原 3労組共闘というと、やっぱり国鉄闘争の原点に返ったということだと思います。関生支部、港合同というそれぞれの闘いがあるけれども、11月集会という労働運動の新潮流運動を通して、団結を守り抜いてきた動労千葉の闘いに2労組が合流した。これが今回の11月集会ではっきりした。各発言も「やっぱり労働組合だ」という方向だったと思います。

「壁」は何か
 あきらめず労働者信じる 地井
 労組権力うち立てる挑戦 配原
 民営化反対が皆の言葉に 町村

(写真 改憲・戦争阻止!大行進大阪市の主催で行われた「都構想」反対デモには沿道から声援が送られた【10月25日 大阪市】)

 —-現場で闘うなかで、どんな「壁」に直面し、どう突破してきましたか。
 鉄尾 組織拡大を仁王立ちしてやるぞということです。定年再雇用に伴う組織破壊攻撃との闘い、CTS(千葉鉄道サービス)でのつり革消毒をめぐる闘い、ワンマン運転拡大問題、本筋の1047名解雇撤回闘争もある。ワンマン運転拡大問題では動物衝突に対する行動指針を決定した。地域の学習会では、身体・視覚・聴覚の障害者の方々から切実な訴えも寄せられている。うちの組合、普段はこういう地道なことばかり。それを一つ一つ取り組みながら突き抜けたい。日刊動労千葉の各支部大会の報告号では、みんないい顔して写真に写っている。
 今、第3の国鉄分割・民営化との闘いに入っています。JRの「労組なき社会」化は日本の支配階級全体の攻撃で、JRが先頭に立って労働者階級全体の権利を打ち砕こうとしている。そこを押さえて具体的課題を現場で掲げて闘う。その時に、CTS職場代表選の勝利の教訓を学び尽くし、各職場で実践していくことだと思います。
 福士 2年前に新賃金制度導入阻止のストを闘った時は阻止できなくて泣きに泣いた。今回のストも、何も取れなかったけど労働者の思いを組織しました。労働条件をめぐる闘争はもちろん大事。だけどこの新自由主義社会でほとんど獲得できない。それに負けない団結をつくることにかけきって突破したことが非常に大きい。それが今後の職場闘争に生きてきます。
 だって、職場の労働者にとったら私はずっと闘い続ける存在。これこそ労働組合の姿だし労働者階級じゃないですか。やっぱり労働者を信じる。といっても信じられないやつはいっぱいいるし、あきらめてしまうことが多いからこそ、絶対に負けない路線をつくるところにストライキの意義がある。労働者のなかにある「闘っても勝てない」論にどう打ち勝つかがストをやってわかった。
 地井 僕らの壁って、あきらめないで労働者をどう信じていくかということに尽きる。周りの労働者も敵に見えることがあるけど、労働者は労働者なんだから信頼するってことですよね。僕たちは職場の労働者に点検される存在。職場の仲間が何に悩んでいるのか、もっともっと聞いていけば壁は薄くなると思う。関生の武建一委員長が言う「耳は大きく、口を小さく」という構えが本当に必要。
 福士 反動的に見える労働者もストを見に来てくれて、反動的なことを言わなくなった。超えられそうもない壁をストで壊せた。闘ってすぐ資本を倒せるわけじゃない。だけど絶対に負けないところを見せることが全体を獲得すると思います。
 鉄尾 故・中野顧問が「俺、人間が好きなんだよ」とよく言っていた。そこだと思う。あとやっぱりストやって突き抜けたことが大事。俺たちだって国鉄分割・民営化で国家権力を相手に組合員1100人で途方もないストをやった。結局、俺が動労千葉の組合員で一番よかったのは、人間の良心とか心って団結してないと守れないのがよくわかったこと。あの時、3人に1人がクビだから、現場は「国労を抜けて新会社に行きたい」とかになっちゃう。でも動労千葉は団結してストをやったから仲間を裏切らずにすんだ。今でもみんなと付き合える。これが一番の宝です。「団結が総括軸」とお題目みたいに言うけど、みんなこのかん、これを実感する闘いをしてるんじゃないかと思いますよね。
 児守 労働者や組合員は何かをとれたか、とれなかったかで組合を評価していない。闘わないやつ、裏切るやつ、裏切っていながら何かできたようにごまかすやつのことをみんな見抜いているから、そんな組合だったら入らないし、やめる。労働者にとっての正義は何なのかを、みんなちゃんとわかっている。それを譲らず、身を挺(てい)して闘い抜く団結、その一番すごいものがストライキだと思うんですよ。うちの組合でも非正規職の大量解雇に対して実力闘争で闘ってきた。「労働組合はああでなければだめですよね」と組合員も言うようになった。
 福士 よく一人の決起が職場も社会も変えると言うけど、一人の決起にどれだけの人が団結して支えて力を凝縮して困難を突破していくかだと思う。今の時代、たとえ職場で一人でも負けない力をみんなからもらって闘うというのがすごく重要。そういうことが無数につながったらゼネストになる。

職場での団結形成

 —-町村さん、配原さんはどうですか。
 町村 組合権力をもっていないなかでどうやって運動をつくるのかという課題はある。でも組合権力とは、職場の日常的団結そのものだと思う。職場には現業・非現業、学歴などの分断があり、特定の同僚を排除する雰囲気もある。でもそれは評価制度に屈服することになる。24時間、労働現場で責任をとるとはどういうことか、当局との攻防をやりながら団結で仕事を回していくことをどう貫くのか、日々起こる問題にどう返していくかが問われています。
 配原 壁だらけです。JP労組は、旧労働契約法20条をめぐる最高裁判決に対して「労使のパートナーシップで生産性向上の寄与に尽くす」と、民営化の時と同じことを打ち出している。そういうなかで、職場の団結に根ざした労働組合権力を職場にどう打ち立てるのかが壁です。当局のイデオロギーに現場の労働者が負けてしまうのかどうかのせめぎあいです。毎日考えるけど、これが難しい。
 例えば、当局が郵便物の放棄・隠匿の査察にくる前段、午後の配達が出る前の一番忙しい時にぬれ雑巾で区分函(かん)を掃除しろと言う。やっていたら仕事にならないから、俺は午前中に全部拭く。それでも管理者は午後にバケツと雑巾をもってきて、「拭くふりでもいいから」と。これに現場は従ってしまうけど、やり終わると「本当にくだらない」とみんな言う。じゃあどうして闘いにならないのか。そういうことの積み重ねです。本当は現場もいろいろ考えているんだけど、普段の意識はそうじゃない、というなかでどう職場を束ねて継続した闘いにしていくかですよね。
 児守 信用できるのは配原さんだけだと絶対に職場の人は思っているはず。闘いは途切れなくある労働とそこでの労働者間の関係性のなかで起きるもの。でも体制内勢力はやっても無駄だと絶望を組織する。やっぱり革命家が存在している意味はそこにあるはず。労働者階級を信じるというのはそこだと思う。
 鉄尾 JR総連が「骨身を削って雇用や職場を守り抜いた国鉄改革を教訓化し」「会社を助けるために弁当はJR東日本フーズで買おう」「グループ会社を使って分会の旅行に行こう」と言っている。結局、あきらめを組織する労働運動。「逆らってもだめだ」って。そういうなかで配原さんが屹立(きつりつ)しているのはすごい。
 町村 うちの自治体では「ステップアップ研修」という人格を破壊する追い出し部屋研修があるけど、組合は「必要な研修」だと言う。でも地域に行って話したら、「絶対におかしいから闘おう」となって、逆に組合のごまかしが見えてくる。例えば今、郵政の腐敗を民営化問題として社会的に訴えていくことも力になると思う。

全社会に向け訴え

 —-社会的に訴えるといえばコンビニ闘争ですね。
 地井 職場の理不尽なことや公正取引委員会への申告のたびに記者会見を開いて、コンビニの闇を暴いてきた。記者も労働者だから一生懸命聞いてくれる。「8時間は労働を、8時間は睡眠を、8時間は自分の時間を」と訴えたら、涙ぐんでくれた。僕たちはすごいことをやっているのに、社会の隅々まで知られていない。どんどん打って出ていくべき。革共同も「前進チャンネル」開設で若い人がどんどんついてきている。弾圧されても明るく闘う姿を見せれば、若い人はもっと興味をもつはず。
 僕もこの1年間で10年、20年分ぐらいの知り合いができた。革命は地道に地道にということだけど、労働者の意識がパンと変わる瞬間がある。しかもこの情勢、めちゃめちゃ速く変わる。コンビニ闘争をやっていてすごくよくわかる。そこに僕は革命の現実性を見ている。
 町村 本当の革命情勢が来ている。「民営化反対」「非正規職撤廃」が急速にみんなの言葉になってきた。大阪でも「民営化で無駄をなくす」「民営化は仕方がない」というある種の常識がこの1年でひっくり返って都構想も粉砕された。職場からストを求める声が出ている。こちらがどう応えるか次第です。

職場ビラ

 —-労働運動といえば職場ビラですが。
 地井 仕事が終わってからビラを書くのは本当にきついけど、職場の人に伝えたいからなんとか出しています。下手でもいいから自分の言葉で、地道にやっていくところから。
 一同 それ大事。
 福士 私は組合や地区の仲間と議論して団結して作っていました。労働運動して子育てして仕事して…..と全部自分一人でやるのは無理なので。
 児守 そっちの方が仲間との団結が深まるし、いいものができる。「今週はこのタイミングで、こういう内容で職場に撃ち込もう」と決めてね。
 福士 わかります。職場の状況をみて仕掛けていくのがすごく楽しい。
 鉄尾 ビラを出すのも闘争方針と一体だから、チームワークということだよね。

21年の展望
 闘い抜き組織拡大へ 鉄尾
 ストできる日教組を 児守
 都立病院独法化阻む 福士

(写真 11・1労働者集会を終え、動輪旗を翻らせて銀座をデモする動労千葉の隊列)

 —-2021年、闘いの展望を。
 町村 都構想が否決されて数日で、吉村知事らは「総合区」と「広域行政一元化条例」案を出してきました。これは都構想の二番煎じではなく、改憲と道州制攻撃に向かってより凶暴に労働者に分断・解雇・弾圧という形で襲いかかるものだと構える必要がある。関生弾圧はその緒戦だったが勝ち抜いている。次は自治体労働運動をめぐる激しい攻防に入ると思います。でも攻撃が凶暴化するほど、その不正義性も隠せなくなる。さっき言った「ステップアップ研修」なんかわかりやすい。民間では追い出し部屋はダメだとなっているのに、自治体や学校でやるのかと。現場が声を上げた瞬間に大社会問題になる。激しい反動が来るけど、もっとすごい団結を生み出せる21年決戦に入っていきたいと思います。
 地井 労働基準法も守れない、独禁法も守れないのがコンビニ資本。公取委から改善勧告を受けてもなんら改善をしようとしない。関連労働者と加盟店オーナーという事業者がタッグを組んでコンビニ本部をとことん追いつめていく。やっぱりコンビニゼネストを実現したい。昨年、九州の配送ドライバーさんがストライキに決起した。職場の中からの反応がすごかった。コンビニで働いている人はみんな怒りをもっているんです。アルバイトで低賃金といえばコンビニ。加盟店からロイヤリティ(経営指導料)という名の「年貢」を取り立てる本部。こうした構図を改善し、夜はしっかり休めて、働く人が人間らしく生きられるように24時間営業義務化廃止の闘いをさらに強化したい。コンビニゼネストで1日でも5万店が止まれば社会を止めることもできる。
 これは改憲・戦争の問題でもあります。コンビニのトラックドライバーには都道府県との包括協定があって、被災地に自衛隊の車の後ろについておにぎりとかを配送することになっている。戦争になったら兵站(へいたん)の食料を持って行けとなる。その点で労働運動は「改憲・戦争阻止!大行進」運動ともつながれる。コンビニゼネストで、小さなコンビニ一店一店が戦争を止める力をもっていることをもっと社会にアピールしたい。もっと明るく魅力ある、みんなが感動する運動をつくっていきたいと思います。
 配原 今年の夏ごろには、昨年の臨時国会で通過した土曜配達廃止のための改正郵便法が具体化するとされている。これとの闘いが決戦になる。マスコミ報道では〝郵便屋にやさしい土曜配達廃止〟と言われている。人が足りないからたいへんだ、だから配達をやめましょうと。本末転倒です。人が足りないなら人を入れるべきです。当局は「余剰人員が出るが自然減で対応する」というが、実際は合理化。普通、郵便屋が考えるのは「土日にたまった郵便を月曜どうやって配達するのか」ということです。いくら郵便物が減っていると言っても、1通だろうと100通だろうと俺らが毎日行く配達先は変わらない。
 これこそ郵政民営化が破綻した現実です。その矛盾が現場の労働者に強労働として押しつけられている。その構造を職場から打ち破りたい。JP労組は今度の法律で、非正規職労働者も含めて雇用を大切にする付帯決議がついたと宣伝している。うそ八百です。そもそも郵政民営化攻撃が人員削減攻撃だったし、民営郵政も欠員から始まっているんですよ。その欠員分を非正規職に置き換えていく攻撃がずっと続いて、6割が非正規職になっている。総非正規職化の職場がもう目の前に来ている。こことの対決です。現場が思っていることを具体的に全体の力にしていくことを考えながら21年を闘いたいと思います。
 鉄尾 今日の座談会は感動と鳥肌の連続でした。みんなの日々の苦闘と職場での具体的な実践を聞けてよかったです。元気をもらいました。
 今、国鉄分割・民営化型の大攻撃がまた吹き荒れているわけだけど、俺たちは1回のりこえている。だから今回はわくわく感をもってこれと立ち向かいます。動労千葉が組織拡大したのは、分割・民営化と首をかけて闘った時や、外注化阻止闘争、清算事業団解雇の時です。だから本当に闘い抜いて組織拡大していきたいと思います。そういうなかでみんなの経験をどんどん共有して、日本労働運動の本格的再生へ向かって「闘う労働組合の全国ネットワークづくり」を全力でやりましょう。

新自由主義に対し決起は必ず起きる

 児守 医療の仲間たちが「医療は社会保障だ」ということをスローガンとしてストライキに立ったことはすごいことだと思います。これで日本中の医療労働者が立ち上がれる。じゃあ教育労働者にとってのそれは何なのか。暫定的には「タブレットの前に先生を」なんだけど、それだけじゃないだろうと。教育とは何なのか。コロナと大失業と新自由主義のなかで何のために教育労働をしているのかをはっきりさせることと、労働組合の闘いが一つになったときに全国の教育労働者が立ち上がるのではないかと思うんです。それを職場闘争のなかからつかんでいくことが大きなテーマです。それが教育労働運動の路線になるのかなと思います。
 ある市が全教員に「何が一番教育に大事だと思うか」というアンケートをとった。基礎学力と人権教育がダントツ。つまり読み書きそろばんといった生きていく力と反戦平和、解放教育、差別を許さず団結する力を育てたいということです。また、昨年の授業動画強制反対闘争をバージョンアップして闘えることをつかみつつある。配ったタブレットの使い方に口出しするな、どう使うかは俺たちが決める、お前たちの支配は受けないと。これがけっこう現場にうけている。改憲・戦争攻撃そのものである国家の教育内容への介入を通した団結破壊は許さないということです。この情勢だからこそ「教え子を再び戦場に送らない」ためにもストライキのできる日教組をよみがえらせることが急務です。そういうことを考えながらストライキのできる組織の建設に取り組んでいきたいと思います。
 福士 昨年はコロナ下で医療・介護・福祉労働者が最前線で「特別な任務」を担ってきました。それが「医療は社会保障だ」というスローガンをつくりだした。それを実現するのは都立病院の独立行政法人化を阻止することです。私はあえて独法化「反対」ではなく「阻止」と強調したい。本当に阻止するための風穴を昨年の闘いで開けたからです。小池都知事は2022年度をめどに独法化すると言っている。都立病院の中から労働者を決起させる闘いに断固挑戦したい。今、医療・介護・福祉現場でこれだけクラスターが発生している。新自由主義のもとで医療が民営化されたことによる一番の矛盾が私たちに押しつけられている。これに対して医療・介護・福祉労働者が決起しないわけはない。これは私がストライキでつかんだ確信です。無数の医療・介護・福祉労働者がストライキに立ち上がる。都立病院独法化も絶対に阻止できる。それが社会を変える力だし、日本革命、世界革命に向かう道だと思います。その立場に断固立ち切ります。もう展望しかないです。
(一同 拍手、拍手、拍手)
—-ありがとうございました。

カテゴリー: その他 パーマリンク