基地も戦争もない世界つくろう!  東アジアに軍事衝突の危機

基地も戦争もない世界つくろう!
 東アジアに軍事衝突の危機

昨年来のコロナパンデミックの中で多くの人々の雇用と生活が破壊され、国際労働機関(ILO)が「1930年代の世界大恐慌以来、最も深刻な労働市場の危機」と警告するほどの失業・格差・貧困が世界中にまん延している。同時に、果てしなく激化する米中2大国の対立と衝突が、私たちの暮らす東アジアにかつてない軍事的緊張ときな臭い空気をもたらしている。その意味でも、今日という時代は第2次世界大戦に行き着いた30年代と酷似している。切迫しているのは3度目の世界戦争=核戦争だ。だが、この時代の流れと社会のあり方を根本から変えるための闘いも世界中で始まっている。未来は私たちの行動次第だ。

「命と生活守る」は大うそ

 日米両政府は今、「中国の脅威」をひたすらあおり立て、「国民の命と生活を守るため」と称して米軍・自衛隊の増強、訓練や軍事演習の激化、軍事予算の拡大などを図っている。米バイデン政権は、トランプ前政権に続いて中国への敵視政策をとり、沖縄をはじめ日本全土に中距離弾道ミサイルを大量配備する計画を進めている。菅政権は巨額の税金をつぎ込んでアメリカから大量の高額兵器を「爆買い」する一方、自衛隊の新たな部隊を九州、奄美、沖縄、宮古、石垣、与那国などの島々に配備し(地図参照)、「専守防衛」という憲法上の建前すらも完全に投げ捨て、「敵基地攻撃能力」の保有まで画策している。
 こうした日米政府の策動は、実際のところ「国民の命と生活を守る」ものではまったくない。むしろ人々の命と生活を日々脅かしているのは、基地周辺で頻発する事故や騒音、流出する化学物質による環境汚染、米兵の凶悪犯罪といった深刻な基地被害の数々だ。沖縄の普天間基地周辺では、戦闘機による騒音被害が昨年、音量・苦情件数ともに過去最多を記録し、「恐ろしい」「心臓が止まりそう」「人間が住む場所ではない」といった住民の悲痛な声が殺到している(3月13日付琉球新報)。米軍ヘリやオスプレイの低空飛行訓練(航空法違反に相当する危険極まる超低空飛行を日米地位協定に基づく特例法で認可)は、人口が密集する首都圏でも日常化しつつある。
 何より、実際に本格的な戦争が発生すれば、相手国の反撃は当然にも基地に集中するのであり、最も甚大な被害を受けるのは基地周辺の住民だ。

殺人兵器に巨額の税金を使う菅政権

 他方で菅政権は、教育予算や社会保障費を削減しながら、安倍前政権に引き続き軍事予算の大幅な拡大を進めている(グラフ)。21年度の防衛予算はコロナ対策費5兆円を上回る5・34兆円と過去最大を計上した。仮にその半分以下の2・6兆円を教育予算に回せば、国公立・私立を問わず日本の全大学の授業料を無償化できる。未来ある学生が過酷なバイトや奨学金という名の借金地獄に追われることもなくなるのだ。
 だが菅政権は、コロナ禍で学生が困窮して休学・退学や自殺者まで急増する状況を放置しながら、高額殺人兵器の購入に税金をつぎ込み、東アジアの軍事的緊張をますます高めているのだ。外国の脅威をあおって軍事予算を膨張させ、戦争に突き進むやり方も戦前の日本とまったく同じだ。

なぜ戦争は起こるのか?

 そもそも現代世界において、なぜ戦争が起こるのだろうか。どうすれば戦争を阻止することができ、また戦争のない世の中をつくることができるだろうか。
 19世紀のドイツの軍事史家クラウゼヴィッツは、主著『戦争論』の中で「戦争とは別の手段による政治の継続である」という有名な格言を残している。戦争とは、ある日突然、偶発的に起こるのではなく、あくまでも政治の延長として起こるのであり、戦争の原因もまた戦争以前に行われてきた政治にある。
 例えば他国の領土や資源、植民地などを外交上の駆け引きを使って獲得しようとしてきた国が、もはやそうした平時の手段で目的を達成できなくなった結果、戦争という強硬手段に出る。また、平時から一握りの支配層だけを優遇し、その他の国民を虐げ、抑圧し、貧困に陥れてきた政府が、いざ戦争が始まったら改心して「国民を守る」ようになるのかと言えば、絶対にそうはならない。引き続き圧倒的多数の民衆を犠牲にしながら、ごく一部の支配階級だけが戦争特需や植民地侵略で大もうけをする—-そのような侵略戦争を日頃の政治の延長として行うのが常である。
 このクラウゼヴィッツの格言を、レーニンは第1次世界大戦(1914〜18年)の真っただ中で何度も引用しながら、各国が「自衛のため」と称して行っている戦争が実際には資本の利益のために植民地を奪い合う侵略戦争でしかないことを喝破し、交戦各国の政府を民衆の力で打倒する革命をもってこの犯罪的な戦争を終わらせることを訴えた。そしてレーニンとロシアの労働者階級は、実際にロシア革命(17年)を勝利させ、これに続くドイツ革命(18年)をもって第1次大戦は終結したのである。
 戦争を阻止し、あるいは始まった戦争を一日も早く終わらせるための最も現実的で確実な方法は、戦争を引き起こす政府を革命で打倒することである。だが、本当にこの世界から一切の戦争をなくすためには、戦争をもたらす悪政の根源である社会構造そのものを根本的に変革しなければならない。つまり、一握りの資本家や支配層が世界の富と権力を独占し、圧倒的多数の労働者民衆の命がないがしろにされて搾取・抑圧される資本主義そのものを終わらせることが必要だ。
 現在の米中対立の先にあるのは勝者なき人類滅亡の核戦争でしかない。また戦争の危機や格差・貧困問題だけでなく、環境破壊や気候変動という観点からも、もはや資本主義と人類は共存できない。この資本主義を終わらせる革命の担い手は、国境を越えて団結した全世界の労働者階級だ。学生も共に立ち上がろう。

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