豊洲耐震偽装告発訴訟

豊洲耐震偽装告発訴訟
 高裁が棄却 最高裁闘争へ
 市場民営化阻止・小池打倒を!

(写真 「採算はずれ」を理由に物流倉庫化や使用料値上げ、仲卸の縮減が狙われている豊洲市場)

3月22日、豊洲市場水産仲卸棟の柱脚鉄量が基準の半分ほどという耐震偽装を告発する仲卸原告らによる「違法建築物除却命令等義務付け訴訟」の第2回口頭弁論が開かれた。
 東京高裁民事第5部・秋吉仁美裁判長はわずか数秒で棄却判決を下し、法廷から逃げ去った。秋吉裁判長はすでに1月27日の第1回審理においてわずか10分足らずの弁護人意見陳述の後にたくらんだ結審策動が見破られ、その場で原告側弁護士から忌避され、訴訟手続きがいったん停止していたにもかかわらずである。しかも弁護士不在の2月13日、事務所員に判決言い渡し日を電話で通告するという暴挙に及んだ。
 さらに高裁民事第7部がたった2日間で忌避を棄却したのを合図に、3月4日付で最高裁に送付された忌避への特別抗告の判断も下されていないのに、秋吉裁判長は棄却判決を強行した。高裁は公開の法廷で裁判の再開はもとより結審の手続きすら行えなかった。 いったいこれは何だ! 裁判を受ける権利すら奪う卑劣な暴挙に他ならない。
 原告と代理人弁護士はこうした暴挙を弾劾し「判決日」を出廷拒否で臨んだ。案の定、被告である東京都も出廷せず、都の職員数人だけが傍聴する異様な法廷であった。
 しかし4月14日、原告は直ちに上告し豊洲裁判はいよいよ最高裁に移った。これまで地裁も高裁も「違反があっても都知事には都の所有建物の是正措置をとるべき処分性(法的な義務)は発生しない」として耐震偽装の本論に入れさせまいとしてきた。しかし、富山県知事の病院開設中止勧告をめぐる2005年の最高裁判例では、行政機関の勧告にも「処分性がある」と認めてきた。しかも「法的義務というより事実上の効果でもよい」とする間口の広い「処分性」だ。裁判所は「処分ができるかどうか」で立ち止まらず、ただちに耐震偽装の中身判断で検証するべきだ。
 こんな当たり前のことが2018年の提訴以来ずっと阻まれ続けてきた。しかし豊洲で働く仲卸原告はこれと一歩も引かず闘い、多くの市場労働者の注目を浴びてきた。
 そもそも豊洲市場移転問題は小池百合子都知事の民営化をフル活用した「稼ぐ東京」への一里塚であった。小池は自民党や旧体制を批判する振りをしながら登場したが、石原慎太郎都知事が東京ガス跡地の購入を汚染除去もなしに578億円という法外な値で買い付け、築地市場の移転先とした経緯をすべて継承して出発。「残す」と約束しながら築地市場を解体した。
 来年具体化させるという市場経営計画では、11カ所ある都内中央卸売市場の公然たる民営化や売却にも言及しだした。豊洲市場も「採算はずれ」を理由に物流倉庫化や卸会社などへの民間参入緩和、使用料値上げによる仲卸の縮減すら公言しはじめた。
 都港湾局は今年度も「IR調査委託費」を計上し、青海地区をはじめ湾岸カジノ計画にしがみついている。五輪の施設継承や東京都病院機構の強引な設立をも使って特区的な医療政策すら組み込み、コロナ下での一切の矛盾を労働者民衆に押しつけながら民営化と労組破壊で「稼ぐ東京」のシンボルにしようとしている。豊洲耐震偽装訴訟に勝利し、小池都政との闘いをさらに発展させよう。
(山上龍一)

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