入管法改正案、小泉今日子さんらも批判 著名人に広がる反対

入管法改正案、小泉今日子さんらも批判 著名人に広がる反対

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毎日新聞

俳優・小泉今日子さんが代表取締役を務める「株式会社明後日」の投稿=ツイッターから

 国会で審議中の入管法改正案への批判が著名人の間に広まっている。

 7日には俳優の小泉今日子さんがツイッターで反対を表明。廃案を求める6日の記者会見には作家の中島京子さんや星野智幸さん、温又柔さんらが参加し、いとうせいこうさんらが連帯のメッセージを寄せた。

 反対世論が高まる中、与野党は7日、衆院法務委員会での採決を先送りした。審議の行方に厳しい世論の視線が注がれている。【和田浩明/デジタル報道センター】  

◇小泉今日子さんも反対

 「#難民の送還ではなく保護を」。小泉さんは7日朝、そんなハッシュタグ(ラベル)をつけて、6日の記者会見に関するツイートをリツイートした。自らが代表取締役を務める「株式会社明後日」のアカウントでの発信だ。

 このツイートは、3月に名古屋出入国在留管理局で死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の妹2人が「小さいころから日本が好きだった」などと記者会見で語ったとの内容だ。テレビの報道番組や映画、ドキュメンタリーを制作している有志による「Choose Life Project(チューズ・ライフ・プロジェクト、CLP)」が投稿。小泉さんの投稿は8日夕までに1500件以上リツイートされ、「いいね」も3300件を超えた。  

◇小泉さんメッセージ、潮目を変える?

 小泉さんは、政府が検察幹部の定年を延長できるようにする検察庁法改正案に対しても「もう一度言っておきます!#検察庁法改正案に抗議します」と2020年5月10日にツイート。その後、同案は廃案になった。入管法改正案に反対するある野党議員は「あのツイートが潮目を変えた」と振り返る。

 ちなみに「#検察庁法改正案に抗議します」と最初に投稿した東京都内の女性「笛美」さんも、入管法改正案への反対をツイートしている。

 6日の記者会見では、直木賞作家の中島京子さんが入管法改正案への反対を明言。星野智幸さんは「この法案は、法治主義、民主主義を信じる私には受け入れられない。みなが無関心でいる間に、権力が暴力に変質した」、温又柔さんは「今回の法案はよくない方向へ向かっている。私は反対です」とそれぞれ述べた。いとうせいこうさんは「孤立している人を助けないことで私たちが世界から孤立する。入管法改悪に反対します」とのメッセージを寄せた。

 中島さんは毎日新聞のインタビューでも「入管施設に収容されている人に何をしてもいいとみなされているのではないか。一部のカテゴリーの人たちが死んでもいいとみなされる社会ではあってほしくないですし、そうした社会に生きていたくないと私は思います」と話している。  

◇せやろがいおじさんも反対

 同法案や収容の長期化、収容者の死亡や健康悪化が相次ぐ入管行政に対しては、「せやろがいおじさん」こと芸人の榎森耕助さんや、エッセイストの小島慶子さんも「NO」を突きつけている。  榎森さんは動画サイト「ユーチューブ」で20年10月以降、複数回にわたり改正案や入管施設収容の長期化について「やばすぎ~」などと批判。小島さんも21年4月の記者会見で「法律で仲間じゃない人は死んでいいという仕組みを作っている国で、安心して暮らせるでしょうか」などと話していた。

 入管法改正案は強制退去処分を受けた外国人の収容長期化の解消や送還の促進などを目指している。しかし、3回以上の難民認定申請者の強制送還を可能にし、送還拒否者を罪に問えるようにする内容などが問題視されている。国連難民高等弁務官事務所や国連人権理事会の特別報告者らは「国際的な難民保護の水準を満たしていない」と疑問視している。

 国会での審議日には、法案に反対する人たちの座り込みが続く。ある関係者は「支持してくれる世論の高まりを感じる。以前は法案を支持していた議員からも法案に批判的な声が聞こえるようになってきた」と話す。衆院法務委での審議は来週にも再開される予定だ。

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