「学校連携観戦プログラム」を即時中止し、園児・児童・生徒と教職員を観戦に動員しないよう強く求めます。

2021年5月28日
東京都教育委員会
教育長 藤田裕司殿
東京労組交流センター教育労働者部会
台東区元浅草 2-4-10 五宝堂・伊藤ビル5F
電話 03-3845-7461/FAX 03-3845-7463

要請書

 東京オリンピック・パラリンピックの「学校連携観戦プログラム」を即時中止し、園児・児童・生徒と教職員を観戦に動員しないよう強く求めます。
   

    理由は一つに、子どもたちの命を守るためです。公共交通機関を使った大人数での移動、集団での観戦などにより新型コロナウイルスへの感染リスクは当然にも高まります。子どもが感染した場合、家庭への感染拡大も懸念されます。「中高生ボランティア体験」も同様です。また炎天下で熱中症も心配されます。そもそも公共交通機関を使った移動にも無理があります。私たち教職員は、子どもたちをコロナ感染から守るために身を削ってきました。都立高校では、今も分散登校の基準を「3分の2以下にする」が続いているのです。
その努力を踏みにじるようなことはしないでください。

 二つに、私たち教職員自身の命を守るためです。教職員もまた感染リスクにさらされます。また、コロナ以前から過労死レベルの労働を強いられていました。そこにコロナ対策や全国一斉休校、GIGAスクール構想の実施が襲い掛かり、学校現場は限界に達しています。もうこれ以上、業務を増やさないでください。教育を破壊しないでください。

 三つに、学校連携観戦は実体的には強制だからです。都教委は観戦の中止や子どもたちの出欠の扱いは校長(学校)の判断を尊重するとしています。しかし、都教委はこれまで、年間 35 時間のオリパラ教育と、その集大成としての学校連携観戦を教育課程届の年間行事計画に記載するよう各学校に求めてきました。この期に及んでも、都教委は「観戦計画ありき」の立場を崩していません。こうした実質的な圧力をかけておきながら、「観戦は学校判断」とすること自体、都教委の責任逃れにほかなりません。学校に「自己責任」を強制しないください。そして子どもたちに観戦を強いることを教職員にやらせないでください。また、こうした実質的圧力のもとで学校連携観戦への参加・不参加を子ども・保護者の意志にゆだねることは子どもの間に分断をもたらします。したがって都教委は「学校連携観戦計画」を中止にするべきです。

 四つに、学校連携観戦は「学徒動員」に他ならないからです。運動会などを中止・縮小する一方、命をかけてまで学校連携観戦を進めることに、多くの人々が戦前の「学徒動員」の姿を重ねています。「今回のコロナを、ピンチをチャンスとして捉えるべきだ」と、元文科相の下村博文・自民党政調会長は緊急事態条項新設=改憲に言及しました。命を犠牲にしてまで開催される東京五輪は政権延命と改憲に向けた「国威発揚」の場になっています。そこに学校を利用しないでください。「お国のために犠牲になれ」というのは「いつか来た道」です。「教え子を再び戦場に送らない」ために「学徒動員」に反対します。

 五つに、五輪への医療動員に反対する医療労働者と連帯するためです。昨年末、小池都知事の号令一下、小中学生による「医療従事者への感謝のお手紙」が各学校に依頼されました。公的医療の拡充もせず、医療労働者に犠牲を求めることを子どもや教職員にやらせることは許されません。「医療従事者への感謝」というならば、まずもって五輪開催を中止してください。
以上

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