【6・29 東京電力株主総会 〜東電は完全賠償を貫徹し、原発事業から撤退せよ!】                           2021年6月12日 大野八千代  原発事故から10年、東電への怒りの陣形がますます拡がっています。今月18日には新しい金曜行動も始まり、福島の怒りと一体となったたたかいが勢いを増しています。東電は従来通り、放射能による被ばくは風評であり、廃炉と復興の両立をうたって幕引きを狙い、「脱炭素」と「防災」を掲げ、菅政権と一体になって、原発再稼働・新増設に突進しようとしています。また、2021年5月20日(米現地時間)、トモダチ作戦訴訟が原告と被告共同での訴え取り下げにより完結しました。これにより、被ばくで苦しむ多くの人々と被ばくによって命を落とした人の遺族への賠償や生活支援の責任からも東電は解放されてしまいましたが、私たちは東電を絶対に逃がしません。汚染水海洋放出反対の国際連帯を深め、原発事故の被害は今のみでなく次世代以降も続くことを明らかにし、東電と政府に全ての責任を負わせ、完全賠償を実現させる行動のひとつとして、株主総会行動をやり抜きましょう!   以下、株主提案と東電回答をまとめました。ちょっと、コメントも入れました。 (1)第2号議案「定款一部変更①」→本議案に反対 [議案内容要旨]  汚染水処分のための協議委員会を設置し、メンバーに福島県および周辺県の農林水産業者と住民を加える旨、定款に新設。 [提案理由] ・トリチウムだけでなく、ストロンチウムなどが大量に含まれる。 ・2次処理でも100%の除去はできない。 ・東電が加害者として被害者・関係者の意見を聞くのは当然。 ・福島県の住民を含めた関係者の同意なしに汚染水処分方法(海洋放出)を決定することは許されない。 ・漁業者、林業者、多くの住民が反対する海洋放出決定で東電の信用がさらに落ちる。 ・後で被害の賠償をするより最も影響の少ない方法、流さないことを選択するのが合理的。 ・事故を繰り返さないことを確実にするために原発をやめ、自然エネルギーへ舵切りを。 [東電意見] ・会社法では業務執行は取締役会の決定に委ねることを基本。定款で定めるのは適当ではない。 ・処理水処分は国の方針を踏まえ、必要に応じて二次処理。  ←“必要に応じて二次処理”と、一次処理で流すのが基本であることについてサラッと言及。コスト削減優先を匂わせる。安全よりも金! ・トリチウム以外の放射性物質が希釈前段階で規制基準値を下回っていることを確認する。トリチウムを大量の海水で希釈して放出することで安全を確実にする。  ←薄めても総量は変わらないことには言及せず。「規制基準値」でお墨付きに。 ・海域モニタリング拡充・強化、正確な情報発信で風評影響を最大限抑制。  ←放射能汚染水の危険性を認めず、あくまで風評と言い切る。 ●汚染水が通常稼働の原発から排出されるものではなく、深刻な重大事故を起こした原発から排出されたという前提を無視することは許されない。「国の基準」を持ち出して責任回避を策略し、原発事故による被害を「風評」と言い切る姿勢は糾弾あるのみ! (2)第3号議案「定款一部変更②」→本議案に反対 [議案内容要旨]  柏崎刈羽原発の再稼働工事を中止し、廃止の準備に入る。原子炉施設以外の敷地・設備を自然エネルギーのために活用する。 [提案理由] ・定款で定めるのは適当ではない。 ・新潟県では3つの検証作業(福島第一原発の事故原因、原発事故が健康と生活に及ぼす影響、原発事故が起こった場合の安全な避難方法)が続き、再稼働の見通し立たず。 ・住民の生命、生活が犠牲になる原発事故は許されない。 ・豪雪地帯ならではの避難の困難さと危険性。大雪警報下では事故が起きても避難は不可能。 ・安全対策の「フィルター付き格納容器ベント」は、住民の被ばくが避けられず、使用は許されない。 ・原発としては閉鎖。発送電設備を自然エネルギー設備に転用して資産を活用、立地地域に貢献。 [東電意見] ・定款で定めるのは適当ではない。 ・「低廉で安定的かつCO2の少ない電気をお客さまに届けるためには、原子力発電を含めた最適な電源ポートフォリオを構築することが必要。  ←ポートフォリオとは書類をまとめて取り出しやすくしたケースのことですが、東電は「電源パッケージ」のような意味で使っているようです。つまり、「自然エネルギーをやらないとは言ってないよ。でも、安い電気を安定供給してCO2削減するためには原発と自然エネルギーを上手に組み合わせるのが最良の選択なんだよ」と、原発に執着。 ・引き続き、柏崎刈羽原発のハード・ソフト両面における安全対策の強化に取り組む。  ←再稼働工事を安全対策のためだと強行する姿勢。 ・昨年10月に新潟県と締結した「原子力防災に関する協力協定」に基づき、広域避難計画の実効性の向上に協力する。新潟県の3つの検証にも最大限協力する。  ←原発事業者という当事者が「協力」とは、まるで他人事!原発再稼働をやめて廃炉し、原発事故リスクを極小にすることこそが協力。 ●本件は、すべての原発周辺住民に共通する要求です。柏崎刈羽原発再稼働阻止と廃炉に向けて、がっつりと取り組みましょう! (3)第4号議案「定款一部変更③」→本議案に反対 [議案内容要旨]  本会社は福島第一原発事故の被害者への賠償に係る時効を主張しない、賠償判決が下り被害者が判決を受け入れた場合、迅速な賠償と弁護士費用節約の観点から本会社は控訴しない旨、定款に新設。 [提案理由] ・生業訴訟仙台高裁判決は避難指示基準を下回る地域にも賠償の対象を広げる画期的な内容だったが、我が社は不服として控訴するなど不誠実、住民の泣き寝入りを待つかのようだ。 ・2014年策定の賠償指針「3つの誓い」を忘れたのか? ・原発事故損害賠償支払いのため、電気料金値上げ認可(2012年8.46%)や資本注入を含む公的支援を受けている。 ・新々・総合特別事業計画に「時効を理由に賠償を断らない」と記載。その旨を定款に記すことは問題ないはず。 ・経営合理化=本店売却、メディアへの広告出稿停止や不要な役職の廃止等で賠償原資を捻出し、「真摯に対応」を実行しよう。 [東電意見] ・定款で定めるのは適当ではない。 ・引き続き「3つの誓い」に掲げた「最後の一人まで賠償を貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」を徹底。 ・時効を理由に一律にお断りはせず、時効完成後であっても被害者の個別の事情に配慮、真摯に対応。 ●原発事故による被害者は直接の当該者のみではない。これから産まれてくる命、海外へも及ぶ。原発被害に終着点はない。「最後の一人」「時効完成後」なる言葉で収束をはかり、個別対応による被害者の分断工作を許してはならない。 (4)第5号議案「定款一部変更④」→本議案に反対 [議案内容要旨] 福島第一原発の事故収束作業に従事するすべての作業員の健康を維持するための環境を整備する旨、定款に新設。 [提案理由] ・本年1月、2、3号機の格納容器のふたが極めて高濃度の放射能で汚染されていることがわかった。事故から10年経っても、作業員たちは多大な被ばくリスクのもとで働いている。 ・汚染水はもちろん、増え続ける汚染廃棄物からの被ばくにも留意しなければならない。 ・作業員の健康調査は現在でも行われているが、「下請けの立場で休暇を取ると仕事を失う」「病気が見つかっても治療してもらえない」ため進んでいない。 ・被災地や我が社のために働いているすべての原発作業員の健康を管理することは何より優先すべき。 ・休業補償や療養補償もすべき。 ・新型コロナ対策。 ・事故時の緊急作業に従事した作業員も含め、生涯にわたる健康管理を行なって行かねばならない。 [東電意見] ・定款で定めるのは適当ではない。 ・当社は作業員の被ばく線量が法令の定める限度よりも十分低い値となるよう徹底管理している(敷地内線量の低減対策、一般作業服等で作業可能なエリアを敷地面積96%まで拡大、全作業に被ばく低減対策を盛り込んだ作業計画を策定し放射線防護の専門部署等が事前に確認)。 ・作業員に対する各事業者による健康管理の実施状況を確認している。 ・新型コロナ感染防止対策を徹底している。 ・作業員の安全と健康を確保するための取り組みを適切にじっししている。 ●全作業員の直接雇用抜きに健康管理の徹底はありえない。請負の場合、もしも東電が健康管理に係る費用等を請負企業に支払ったとしても、その金をどう使うかは請負企業の判断、東電に他企業に対して金の使い道を強制する権限はない。それが資本主義だ。危険手当さえ、その全額が労働者に渡ることはまれだ。危険手当相当額が日給あるいは時給から減額され、実質ゼロになっていることもある。そもそも、事故発生当時の作業員の現状は、その消息も含めて把握できていない。被ばくによる健康被害は既に発生している。一刻も早く、原発事故直後に働いた作業員、その家族に連絡を取り、生涯にわたる健康管理と労災対応が急務。合わせて、原発事故処理に従事した労働者においては、労災申請期限や請求権の時効を過去に遡って廃止するなどの特別措置が必要。 (5)第6号議案「定款一部変更⑤」→本議案に反対 [議案内容要旨]  福島第一原発事故を教訓とし、後世の検証に資するため、関わる全ての資料保存・記録・管理し、無償で公開する。本社から独立した管理運営委員会を設置、メンバーは一般市民と学識経験者などで構成し、半分は原発に反対・慎重な立場の人とする旨、定款に新設。 [提案理由] ・廃炉に100年以上かかることを思えば、10年になるとしても記憶に新しい。過去のことでもなければナカッタことにもできない事実の記録を、後々の検証のために逐一残すべき。 ・我が社には知り得た一次情報を全て公開する責務がある。 [東電意見] ・定款で定めるのは適当ではない。 ・当社は原子力規制庁をはじめとする関係機関とも協働して継続的な調査・分析をすすめており、得られた結果を原子力規制委員会に適宜報告、当社ホームページ等を通じて国際社会も含めて積極的に情報発信を行なっている。 ●情報は選別・選択されるもの。東電の宣伝を信じる人々に真実を知らせて、原発事故被害を自分の問題だと考えてもらえるように訴え続けていきましょう。 (6)第7号議案「定款一部変更⑥」→本議案に反対 [議案内容要旨] 電源開発(株)(Jパワー)が建設中の大間原発からの受電契約を破棄する旨、定款に新設。 [提案理由] ・定款で定めるのは適当ではない。 ・我が社は大間原発から予定発電量の85%を受電価格15円/kWh(太陽光受電価格は同8.5円)で購入予定だが、2011年以前の建設費4700億円が基準。 ・震災直後から現在まで工事進捗率は38%のまま。 ・2014年には安全対策で1300億円の追加投資が必要と報道。工事が進まなくても1日1億円弱かかる中、稼働の2年延長、建設期間は当初の5倍、20年。 ・実際の建設費用は計画の2倍、9000億円に達するとの報道もある。 ・割高が明白な受電契約は破棄すべき。 [東電意見] ・定款で定めることではない。 ・大間原発は原子力委員会の決定により、国と電気事業者の適切な支援のもと、電源開発株主会社が実質主体として責任を持って取り組むべきもの。 ・当社は国のエネルギー政策の動向、競争環境の進展や他の関係当事者との協議を踏まえて適切に対応する。 ●大間原発の建設と、それについての東電の対応を回答してしまっているが、提案は「受電契約の破棄」だ。東電は契約当事者だから、どこからの影響も受けずに契約を破棄する選択が可能。それが資本主義だ。どう回答すべきか困ってしまったようだ。 (7)第8号議案「定款一部変更⑦」→本議案に反対 [議案内容要旨] 既存の水力発電所を有効活用し、地産地消型の自然エネルギーを推進する旨、定款に新設。 [提案理由] ・2007年、水力発電所だけで3492件もの不備を追加報告した。 ・164箇所ある水力発電所があまり活用されていない。 ・洪水予防で夏場は水位を下げているが、気象予報が進歩、1週間前には予測が可能。少ない費用でダムの高さを嵩上げする工法も実証されている。 ・遠距離送電による放電ロスや電磁波問題の軽減にもなる。 ・水力発電所は減価償却が済んでいるものが多く、最も安価。 [東電意見] ・定款で定めるのは適当ではない。 ・再生可能エネルギー発電事業を担う東京電力リニューアブルパワー株式会社が水力発電所を最大限活用する取り組みをすすめている。 ・水力発電のみの電気料金、地産地消型の電気料金メニューの創設などをやっている。 ●「自然エネルギーもやるし、原発もやる」By 東電 (8)第9号議案「定款一部変更⑧」→本議案に反対 [議案内容要旨] 個々の取締役及び執行役の報酬・賞与その他を遅滞なく公表する旨、定款に新設。 [提案理由] ・企業情報の開示は資本市場の基本的インフラ。 ・毎月巨額の公的資金が投入され、全国民が株主のようなもの。他社よりも経営の透明性が求められる。 ・金融庁は昨年3月、有価証券報告書の役員報酬金額の根拠の記載が法令や投資家の期待を満たしていないと上場企業1000社に改善要請をしている。 [東電意見] ・事業報告、有価証券報告書で取締役・執行役・社外取締役それぞれの総額および員数を開示している。 ・金融庁から改善指導等を受けた事実はない。 from Yachiyo Ohno 返信 返信 転送 転送 移動 印刷 迷惑メール 削除 操作 次 前

 原発事故から10年、東電への怒りの陣形がますます拡がっています。今月18日には新しい金曜行動も始まり、福島の怒りと一体となったたたかいが勢いを増しています。東電は従来通り、放射能による被ばくは風評であり、廃炉と復興の両立をうたって幕引きを狙い、「脱炭素」と「防災」を掲げ、菅政権と一体になって、原発再稼働・新増設に突進しようとしています。また、2021年5月20日(米現地時間)、トモダチ作戦訴訟が原告と被告共同での訴え取り下げにより完結しました。これにより、被ばくで苦しむ多くの人々と被ばくによって命を落とした人の遺族への賠償や生活支援の責任からも東電は解放されてしまいましたが、私たちは東電を絶対に逃がしません。汚染水海洋放出反対の国際連帯を深め、原発事故の被害は今のみでなく次世代以降も続くことを明らかにし、東電と政府に全ての責任を負わせ、完全賠償を実現させる行動のひとつとして、株主総会行動をやり抜きましょう! 
 以下、株主提案と東電回答をまとめました。ちょっと、コメントも入れました。

(1)第2号議案「定款一部変更①」→本議案に反対
[議案内容要旨]
 汚染水処分のための協議委員会を設置し、メンバーに福島県および周辺県の農林水産業者と住民を加える旨、定款に新設。
[提案理由]
・トリチウムだけでなく、ストロンチウムなどが大量に含まれる。
・2次処理でも100%の除去はできない。
・東電が加害者として被害者・関係者の意見を聞くのは当然。
・福島県の住民を含めた関係者の同意なしに汚染水処分方法(海洋放出)を決定することは許されない。
・漁業者、林業者、多くの住民が反対する海洋放出決定で東電の信用がさらに落ちる。
・後で被害の賠償をするより最も影響の少ない方法、流さないことを選択するのが合理的。
・事故を繰り返さないことを確実にするために原発をやめ、自然エネルギーへ舵切りを。
[東電意見]
・会社法では業務執行は取締役会の決定に委ねることを基本。定款で定めるのは適当ではない。
・処理水処分は国の方針を踏まえ、必要に応じて二次処理。
 ←“必要に応じて二次処理”と、一次処理で流すのが基本であることについてサラッと言及。コスト削減優先を匂わせる。安全よりも金!
・トリチウム以外の放射性物質が希釈前段階で規制基準値を下回っていることを確認する。トリチウムを大量の海水で希釈して放出することで安全を確実にする。
 ←薄めても総量は変わらないことには言及せず。「規制基準値」でお墨付きに。
・海域モニタリング拡充・強化、正確な情報発信で風評影響を最大限抑制。
 ←放射能汚染水の危険性を認めず、あくまで風評と言い切る。

●汚染水が通常稼働の原発から排出されるものではなく、深刻な重大事故を起こした原発から排出されたという前提を無視することは許されない。「国の基準」を持ち出して責任回避を策略し、原発事故による被害を「風評」と言い切る姿勢は糾弾あるのみ!

(2)第3号議案「定款一部変更②」→本議案に反対
[議案内容要旨]
 柏崎刈羽原発の再稼働工事を中止し、廃止の準備に入る。原子炉施設以外の敷地・設備を自然エネルギーのために活用する。
[提案理由]
・定款で定めるのは適当ではない。
・新潟県では3つの検証作業(福島第一原発の事故原因、原発事故が健康と生活に及ぼす影響、原発事故が起こった場合の安全な避難方法)が続き、再稼働の見通し立たず。
・住民の生命、生活が犠牲になる原発事故は許されない。
・豪雪地帯ならではの避難の困難さと危険性。大雪警報下では事故が起きても避難は不可能。
・安全対策の「フィルター付き格納容器ベント」は、住民の被ばくが避けられず、使用は許されない。
・原発としては閉鎖。発送電設備を自然エネルギー設備に転用して資産を活用、立地地域に貢献。

[東電意見]
・定款で定めるのは適当ではない。
・「低廉で安定的かつCO2の少ない電気をお客さまに届けるためには、原子力発電を含めた最適な電源ポートフォリオを構築することが必要。
 ←ポートフォリオとは書類をまとめて取り出しやすくしたケースのことですが、東電は「電源パッケージ」のような意味で使っているようです。つまり、「自然エネルギーをやらないとは言ってないよ。でも、安い電気を安定供給してCO2削減するためには原発と自然エネルギーを上手に組み合わせるのが最良の選択なんだよ」と、原発に執着。
・引き続き、柏崎刈羽原発のハード・ソフト両面における安全対策の強化に取り組む。
 ←再稼働工事を安全対策のためだと強行する姿勢。
・昨年10月に新潟県と締結した「原子力防災に関する協力協定」に基づき、広域避難計画の実効性の向上に協力する。新潟県の3つの検証にも最大限協力する。
 ←原発事業者という当事者が「協力」とは、まるで他人事!原発再稼働をやめて廃炉し、原発事故リスクを極小にすることこそが協力。

●本件は、すべての原発周辺住民に共通する要求です。柏崎刈羽原発再稼働阻止と廃炉に向けて、がっつりと取り組みましょう!

(3)第4号議案「定款一部変更③」→本議案に反対
[議案内容要旨]
 本会社は福島第一原発事故の被害者への賠償に係る時効を主張しない、賠償判決が下り被害者が判決を受け入れた場合、迅速な賠償と弁護士費用節約の観点から本会社は控訴しない旨、定款に新設。
[提案理由]
・生業訴訟仙台高裁判決は避難指示基準を下回る地域にも賠償の対象を広げる画期的な内容だったが、我が社は不服として控訴するなど不誠実、住民の泣き寝入りを待つかのようだ。
・2014年策定の賠償指針「3つの誓い」を忘れたのか?
・原発事故損害賠償支払いのため、電気料金値上げ認可(2012年8.46%)や資本注入を含む公的支援を受けている。
・新々・総合特別事業計画に「時効を理由に賠償を断らない」と記載。その旨を定款に記すことは問題ないはず。
・経営合理化=本店売却、メディアへの広告出稿停止や不要な役職の廃止等で賠償原資を捻出し、「真摯に対応」を実行しよう。
[東電意見]
・定款で定めるのは適当ではない。
・引き続き「3つの誓い」に掲げた「最後の一人まで賠償を貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」を徹底。
・時効を理由に一律にお断りはせず、時効完成後であっても被害者の個別の事情に配慮、真摯に対応。

●原発事故による被害者は直接の当該者のみではない。これから産まれてくる命、海外へも及ぶ。原発被害に終着点はない。「最後の一人」「時効完成後」なる言葉で収束をはかり、個別対応による被害者の分断工作を許してはならない。

(4)第5号議案「定款一部変更④」→本議案に反対
[議案内容要旨]
福島第一原発の事故収束作業に従事するすべての作業員の健康を維持するための環境を整備する旨、定款に新設。
[提案理由]
・本年1月、2、3号機の格納容器のふたが極めて高濃度の放射能で汚染されていることがわかった。事故から10年経っても、作業員たちは多大な被ばくリスクのもとで働いている。
・汚染水はもちろん、増え続ける汚染廃棄物からの被ばくにも留意しなければならない。
・作業員の健康調査は現在でも行われているが、「下請けの立場で休暇を取ると仕事を失う」「病気が見つかっても治療してもらえない」ため進んでいない。
・被災地や我が社のために働いているすべての原発作業員の健康を管理することは何より優先すべき。
・休業補償や療養補償もすべき。
・新型コロナ対策。
・事故時の緊急作業に従事した作業員も含め、生涯にわたる健康管理を行なって行かねばならない。
[東電意見]
・定款で定めるのは適当ではない。
・当社は作業員の被ばく線量が法令の定める限度よりも十分低い値となるよう徹底管理している(敷地内線量の低減対策、一般作業服等で作業可能なエリアを敷地面積96%まで拡大、全作業に被ばく低減対策を盛り込んだ作業計画を策定し放射線防護の専門部署等が事前に確認)。
・作業員に対する各事業者による健康管理の実施状況を確認している。
・新型コロナ感染防止対策を徹底している。
・作業員の安全と健康を確保するための取り組みを適切にじっししている。

●全作業員の直接雇用抜きに健康管理の徹底はありえない。請負の場合、もしも東電が健康管理に係る費用等を請負企業に支払ったとしても、その金をどう使うかは請負企業の判断、東電に他企業に対して金の使い道を強制する権限はない。それが資本主義だ。危険手当さえ、その全額が労働者に渡ることはまれだ。危険手当相当額が日給あるいは時給から減額され、実質ゼロになっていることもある。そもそも、事故発生当時の作業員の現状は、その消息も含めて把握できていない。被ばくによる健康被害は既に発生している。一刻も早く、原発事故直後に働いた作業員、その家族に連絡を取り、生涯にわたる健康管理と労災対応が急務。合わせて、原発事故処理に従事した労働者においては、労災申請期限や請求権の時効を過去に遡って廃止するなどの特別措置が必要。

(5)第6号議案「定款一部変更⑤」→本議案に反対
[議案内容要旨]
 福島第一原発事故を教訓とし、後世の検証に資するため、関わる全ての資料保存・記録・管理し、無償で公開する。本社から独立した管理運営委員会を設置、メンバーは一般市民と学識経験者などで構成し、半分は原発に反対・慎重な立場の人とする旨、定款に新設。
[提案理由]
・廃炉に100年以上かかることを思えば、10年になるとしても記憶に新しい。過去のことでもなければナカッタことにもできない事実の記録を、後々の検証のために逐一残すべき。
・我が社には知り得た一次情報を全て公開する責務がある。
[東電意見]
・定款で定めるのは適当ではない。
・当社は原子力規制庁をはじめとする関係機関とも協働して継続的な調査・分析をすすめており、得られた結果を原子力規制委員会に適宜報告、当社ホームページ等を通じて国際社会も含めて積極的に情報発信を行なっている。

●情報は選別・選択されるもの。東電の宣伝を信じる人々に真実を知らせて、原発事故被害を自分の問題だと考えてもらえるように訴え続けていきましょう。

(6)第7号議案「定款一部変更⑥」→本議案に反対
[議案内容要旨]
電源開発(株)(Jパワー)が建設中の大間原発からの受電契約を破棄する旨、定款に新設。
[提案理由]
・定款で定めるのは適当ではない。
・我が社は大間原発から予定発電量の85%を受電価格15円/kWh(太陽光受電価格は同8.5円)で購入予定だが、2011年以前の建設費4700億円が基準。
・震災直後から現在まで工事進捗率は38%のまま。
・2014年には安全対策で1300億円の追加投資が必要と報道。工事が進まなくても1日1億円弱かかる中、稼働の2年延長、建設期間は当初の5倍、20年。
・実際の建設費用は計画の2倍、9000億円に達するとの報道もある。
・割高が明白な受電契約は破棄すべき。
[東電意見]
・定款で定めることではない。
・大間原発は原子力委員会の決定により、国と電気事業者の適切な支援のもと、電源開発株主会社が実質主体として責任を持って取り組むべきもの。
・当社は国のエネルギー政策の動向、競争環境の進展や他の関係当事者との協議を踏まえて適切に対応する。

●大間原発の建設と、それについての東電の対応を回答してしまっているが、提案は「受電契約の破棄」だ。東電は契約当事者だから、どこからの影響も受けずに契約を破棄する選択が可能。それが資本主義だ。どう回答すべきか困ってしまったようだ。

(7)第8号議案「定款一部変更⑦」→本議案に反対
[議案内容要旨]
既存の水力発電所を有効活用し、地産地消型の自然エネルギーを推進する旨、定款に新設。
[提案理由]
・2007年、水力発電所だけで3492件もの不備を追加報告した。
・164箇所ある水力発電所があまり活用されていない。
・洪水予防で夏場は水位を下げているが、気象予報が進歩、1週間前には予測が可能。少ない費用でダムの高さを嵩上げする工法も実証されている。
・遠距離送電による放電ロスや電磁波問題の軽減にもなる。
・水力発電所は減価償却が済んでいるものが多く、最も安価。
[東電意見]
・定款で定めるのは適当ではない。
・再生可能エネルギー発電事業を担う東京電力リニューアブルパワー株式会社が水力発電所を最大限活用する取り組みをすすめている。
・水力発電のみの電気料金、地産地消型の電気料金メニューの創設などをやっている。

●「自然エネルギーもやるし、原発もやる」By 東電

(8)第9号議案「定款一部変更⑧」→本議案に反対
[議案内容要旨]
個々の取締役及び執行役の報酬・賞与その他を遅滞なく公表する旨、定款に新設。
[提案理由]
・企業情報の開示は資本市場の基本的インフラ。
・毎月巨額の公的資金が投入され、全国民が株主のようなもの。他社よりも経営の透明性が求められる。
・金融庁は昨年3月、有価証券報告書の役員報酬金額の根拠の記載が法令や投資家の期待を満たしていないと上場企業1000社に改善要請をしている。
[東電意見]
・事業報告、有価証券報告書で取締役・執行役・社外取締役それぞれの総額および員数を開示している。
・金融庁から改善指導等を受けた事実はない。

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