五輪開幕の東京で遭遇した「カオス」 競技場の外で記者が見た現実

五輪開幕の東京で遭遇した「カオス」 競技場の外で記者が見た現実

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京都新聞

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東京・渋谷のスクランブル交差点で五輪開催に抗議する人たち=23日午後

 新宿の高層ビル群の上空に航空機が現れると、多くの人が一斉にスマートフォンを向けた。旋回しながら青や緑のスモークで、雲の切れ間に輪を描いた。

 23日昼、航空自衛隊ブルーインパルス」の編隊飛行を都庁前で見た。歩道橋や広場は人であふれ、まさに密状態。老若男女、ベビーカーを押した親子連れの姿もあり、拍手がまばらに起きた。  傍らでは、東京五輪開催に反対する市民や学生団体がシュプレヒコールを上げ続けていた。「オリンピックいらない」。47都道府県を巡り、都庁に到着した聖火リレーへの抗議行動だった。これまた密状態で、大勢の警察官が監視し、海外メディアも集まっていた。

 3月25日、福島県のJヴィレッジを発つ聖火リレーのグランドスタートを取材した。コンセプトは「Hope Lights Our Way(希望の道を、つなごう)」。開催の賛否が揺らめく混乱の中でスタートしたが、状況はさらに混迷を深め、旅路の果てで感じたのはカオス(混沌)そのものだった。

 1964年東京五輪の開会式で青空に鮮やかな五輪マークを描いたブルーインパルス。聖火もきっと戦後の復興を明るく照らすものだったに違いない。

 あれから57年。この夏、何が起こり、何が後世に残るのか。競技場の外から現実を伝えていきたいと思う。

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