コロナ下で職員大削減狙う  小池の来年度人員計画許すな!

コロナ下で職員大削減狙う
 小池の来年度人員計画許すな!

 小池都知事は8月12日、コロナ感染が爆発的に拡大する状況下で、都の職員を大幅に減らす来年度組織・職員定数計画と業務の原則10%削減の予算案作りを各局に求めた。都立病院、保健所をはじめ医療体制・人員の絶対的不足で多くの患者が死に追いやられているにもかかわらずだ。それは社会が必要とする自治体業務の総破綻に行き着く。秋闘決戦に総力決起し、この暴挙を打ち破ろう。

感染対策強化は応援の拡大のみ

 感染対策は、現下の崩壊的事態への緊急の対応だけでなく、今後も長期にわたって求められる。だからこそ病院や保健所などへの資格を持ち経験を積んだ正規職員の大量増員が必要だ。
 しかし現状は、過酷な労働条件ゆえに募集しても人が集まらない。体調を崩し退職せざるを得なくなった職員も多い。「効率化・経費削減」を全てに優先させてきた結果だ。状況を根本から変え、十分な労働条件を保障する正規職員の大量採用と育成を図る組織・人員計画が求められている。大幅賃上げも必須だ。
 にもかかわらず都当局は8月17日、担当部署の専門職の増強ではなく、現在行っている1500人規模の全庁からの「コロナ応援」の継続と300人規模の追加動員を通達した。福祉保健局などの人員措置は「検討」するが、感染収束まで全庁で業務負担を分け合う状況を続けるという。
 都当局はことここに至っても、他部局からの不慣れな職員の応援=引きはがしの拡大で済ませようとしている。「非常事態」だと言って血の出るような応援動員を強いながら、医療体制そのものを本格的に再建・強化する気などさらさらないということだ。
 加えて小池は感染対策の主軸を担う都立・公社病院の地方独立行政法人化(=民営化)をあくまで続行しようとしている。まさに暴挙以外の何ものでもない。菅に続いて小池を倒し、社会を根本から変える時だ。

五輪派遣の終了口実に大量解雇

 さらに都総務局は各局に来年度計画として「簡素で効率的な都庁組織の実現」を求めた。デジタル技術の活用で組織と職員定数の見直し(=削減)を徹底し、人員増を計画する場合は既存事業の人員減=スクラップ化をセットにすることを要求。特に、東京五輪・パラリンピックのために派遣されていた職員1千人の帰任を見越して、その分の新規採用を減らし、任期付職員の大量解雇を指示した。
 菅や小池によるコロナ下のオリパラ強行は、それまでの慢性的な人員不足に輪をかけた超過重労働を強いてきた。8月13日付都政新報は、本庁の課長職からの「五輪準備局の職員や他局の応援職員は心身ともに疲弊している。五輪期間中はコロナ対応のサポートもあり、局の職員は総出に近い状況だった。職員はなかなか振り替え休日を取れず、五輪が終わっても一息つくことすらできない」という悲痛な声を報じた。
 にもかかわらず小池は「少ない人数でやれたではないか」と言わんばかりに、オリパラ後も人員を元に戻すどころかこれを機に大量削減をしようとしているのだ。あってはならない「過労死」と自治体業務全般の大破綻が現実になろうとしている。
 加えて都当局は、18日付通達で「優先度の低い事業の休止や縮小、延期など」を一層徹底することを露骨に求めた。コロナ対策のための度外れた応援動員の継続・拡大を機に、社会が必要とする通常業務をさらに削れということだ。

デジタル「投資」で巨大利権狙う

 この危機的状況下で小池は、予算編成の指針として民営化とデジタル化を軸とする「未来の東京」戦略を掲げた。「未来の東京」戦略の新規事業は予算削減の例外とし、「厳しい財政状況下でも積極的に投資すべき成長分野を見極め、メリハリを利かせる」ことを強調した。
 営利団体でない自治体が「成長分野」に「投資」するとはどういうことか。それは新たな利権作りであり、公的業務の切り捨て・人員削減、民営化・非正規職化と一体である。
 その実例が、8月都議会で採択された「若者層のワクチン接種促進キャンペーン」を盛り込んだ補正予算だ。接種を促すアプリ開発に2億5千万円、WEB広告や動画配信に7億5千万円を計上した。医療体制の強化が何より必要な時に、なぜこんなことに使うのかと批判が巻き起こった。

都労連を先頭に今秋闘決戦へ!

 コロナの爆発的拡大の中で闘われる全国自治体の今秋闘は、賃金と人員をめぐる重大な決戦となった。各自治体当局は「財政危機」を叫んで大攻撃をかけてきている。しかしそれは社会全体の一層の崩壊をもたらす。これ以上、当局の好き勝手にさせてはならない。充満する全労働者の怒りを体現し、労働組合がその実力を発揮すべき時だ。
 都労連は人事院による国家公務員一時金の2年連続引き下げ勧告に対し、「賃金を引き下げる不当な勧告は、コロナ禍の中で懸命に働いている職員の労苦を顧みず、賃上げへの切実な期待に背くもので、認めることはできない」として、平均2万1千円以上の賃上げを改めて要求した。まして「効率化・経費削減」を振りかざした人員削減や公的事業の切り捨て、民営化などもっての外である。
 都立病院の独法化を絶対に阻止しよう。コロナ危機を革命へ! 新自由主義を倒そう。全国の職場で秋闘を徹底的に闘い、11・7労働者集会に大結集しよう。

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ポイント
・感染対策は専門職でなく応援の増員のみ
・五輪派遣職員が復帰してもその分を削減
・デジタル化で職員削減加速、利権を拡大

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