東京もオミクロン株感染爆発で“医療逼迫Xデー”へ待ったなし 英国並みなら都民1万人が入院

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「コロナとの戦いは新たなフェーズに入ったという認識を持って」──。オミクロン株の感染拡大を受け、こう警戒を訴える小池都知事。7日開いた都の新型コロナ対策本部会議で、医療提供体制の強化など“3本柱”を示したが、オミクロン患者の急増による病床逼迫は待ったなしだ。

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 7日の都内の新規感染者は922人。うち48.2%は新型コロナワクチンを2回接種済みだった。900人突破は4カ月ぶりで、前週同曜日の78人から約12倍も激増した。

 小池知事は対策本部会議で、来週11日から今月31日までを「オミクロン株の急速拡大に伴う緊急対応」期間に位置づけ、都民や都内の事業者に感染拡大防止の徹底を呼びかけた。

 期間中は、現在1テーブル8人以内の会食人数制限を「4人以内」に縮小。医療提供体制も今後、確保病床数を4839床から6891床に、うち重症病床数を353床から510床に拡大する。

 軽症・中等症患者向けの「酸素・医療提供ステーション」は現在の191床から最大720床に上積みする方針だ。

 小池知事は「先手先手」をアピールするが、オミクロン株の感染スピードは史上最速。デルタ株に比べて入院患者の割合が低いといわれているものの、オミクロン株が猛威を振るう海外では入院者数が急増中だ。

 震源地となった南アフリカは昨年12月から今月にかけ、1週間の新規感染者の「入院率」は5.45%(12月6~12日)→7.24%(同13~19日)→9.3%(同20~26日)→12%(同27日~1月2日)と上昇。ワクチンの2回接種率が3割に満たないせいもあるだろうが、一方でワクチン先進国の米国や英国でも入院者数は急増している。

 5日時点の入院者数は米国が約11万9700人、英国が約1万8000人。米国はデルタ株が主流だった昨年9月の入院者数のピーク時に比べ、1.2倍にあたる2万人増。英国も同じくデルタ株による入院者数のピーク時から2.3倍となり、1万人も増えた。

「これまでの2倍近い感染者が出る恐れ」と専門家

負担増が心配(C)共同通信社
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 都内も同じ惨状にならないとは限らない。過去最大の入院者数は4351人だが、南アや米英の事例を踏まえれば、再び医療逼迫に直面する恐れがある。実際、現在のコロナ病床(4839床)の使用率は先月29日の4.4%から、7日は11.4%と着実に上がっている。

「オミクロン株の感染爆発によって、恐らく第5波を上回る新規感染者が出るでしょう。感染スピードが速いため、今月中に第5波のピーク時に達する可能性もあります。感染者が急増すれば、病床の数を増やしても、マンパワーが追いつかなくなる。医療スタッフが感染するリスクも高まります。重症化リスクが低い可能性があるとはいえ、これまでの2倍近い感染者が出る恐れもあり、医療体制が逼迫した第5波の二の舞いになりかねません」(昭和大医学部客員教授の二木芳人氏=臨床感染症学)

 小池知事はまん延防止等重点措置の要請に後ろ向きだが、国の指標では病床使用率や重症病床使用率が50%以上で、対策強化が緊急事態宣言の発令を検討するレベル3に引き上げられる。都が順調に確保病床数を増やしても、レベル3に達するラインは3446床。英国のように入院者数がピーク時の2.3倍に達した場合、約1万人が病床を埋めることになる。レベル3超えどころか、完全に医療崩壊だ。

 医療体制への負荷は感染爆発から遅れてやって来る。小池知事が万全の手を打ったのかハッキリするのは、もう少し先だ。

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