日本語学校の職員が「在留カード」を見せるよう鎖で拘束【水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇】

日本語学校の職員が「在留カード」を見せるよう鎖で拘束【水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇】

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日刊ゲンダイDIGITAL

1学年に900人(撮影)出井康博

【水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇】#12

 昨年10月下旬、ベトナム人留学生のホアン君(21)は、日本語学校の職員によって鎖で拘束された。そのときの様子をホアン君自身がスマホで撮影した動画からは、職員のこんな声が聞こえる。 職員が留学生を鎖で拘束した動画が話題に…日本語学校ではいじめが横行している 「言うまで一緒! 教えて、早く! 教えて!」

 職員は、ホアン君の「在留カード」がどこにあるのかをたずねていた。在留カードは日本に住む外国人の身分証だ。在留資格や期限が記されていて、常時携帯の義務がある。その在留カードを見せるよう学校側に言われ、ホアン君は拒んだ。

 彼は学校に対し、在留資格を「留学」から「特定活動」に変更したとウソをついていた。転校の希望がかなわず、ベトナムへ帰ると自ら言った末のウソだが、在留カードを見せれば、変更していないことがバレてしまう。押し問答になってもかたくなに拒否していると、職員から鎖で拘束されてしまったのだ。

 ホアン君が在籍していたのは、福岡市の日本語学校「西日本国際教育学院」だ。1992年創設の老舗で、1学年の定員が900人以上と西日本有数の大規模校でもある。同学院を運営する学校法人「宮田学園」に「鎖事件」への見解を問うと、担当者はこう回答した。 「(ホアン君が3時間という拘束は)大体1時間くらい。本人の自由意思で鎖を外せる状態でしたので、拘束という事実はないと思っております。半ば冗談であったと本人からも確認していますが、行き過ぎた行為であったとは認識しております」

 在留カードの提示を求めたのも、ホアン君が資格変更に関するウソをついたのが原因だと強調する。

 確かに、ホアン君はウソをついた。しかし、仮に「半ば冗談」であろうと「鎖」はひどい。異国で大勢の日本人たちに囲まれ、鎖につながれた彼の心中を考えてみてもらいたい。また少なくとも私には、“拘束”が「半ば冗談」だったとホアン君は認めなかった。

 同学園とすれば、どうしてもホアン君の在留資格を確認したい理由があったのかもしれない。資格が「特定活動」に変更されていれば学園とも縁が切れていることになるが、「留学」のままで不法残留となれば、学園は入管当局から責任を問われてしまう恐れがあるからだ。

■学校側に抱いた不信感

 一方、ホアン君は「留学」の資格を失えば希望する転校ができなくなると考え、資格を変更していなかった。彼の言い分はこうだ。 「在留カードのウソが学校にバレたら入管に連れて行かれてベトナムへ送り返されるかもしれない。だからカードを見せたくなかったのです」

 なぜ、ホアン君はそれほどまで学校に不信感が強いのか。

 宮田学園は地元・福岡では名の知れた学校法人だ。数年前に専門学校も設立し、プロ野球「福岡ソフトバンクホークス」のオフィシャルスポンサーにも名を連ねる。また、留学生たちが早朝、職員と一緒に博多駅周辺を掃除する光景でも知られる。しかし学園関係者からは、「模範校」らしからぬウワサも聞こえてくる。(つづく)

出井康博/ジャーナリスト)

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