北陸放送

全国有数のスルメイカの水揚げを誇る石川県能登町・小木港では5月、この時期としては3年ぶりに外国人実習生の受け入れが行われました。嬉しい話題の一方、中型イカ釣り船をめぐっては様々な問題が山積み。ロシアのウクライナ侵攻の影響で新たな課題にも直面しています。

【写真を見る】外国実習生受け入れもウクライナ侵攻に違法操業…問題山積みのイカ釣り船団

　5月21日、能登町小木港に到着した1台のバス。下りて来たのはインドネシア人の若者たちです。小木港の中型イカ釣り船は船に乗る半数が外国人の技能実習生で、貴重な担い手となっています。

　ここ数年はコロナ禍で来日できない状況が続き、スルメイカ漁の時期を前に受け入れができるのは実に3年ぶりです。 石川県漁協小木支所では5月31日に歓迎式が開かれ、漁へと向かう実習生たちが気持ちを新たにしました。

　技能実習生・バユ・パムンカスさん 「3年間日本の漁業の技術を学んでインドネシアに持って帰りたい」 一方、中型イカ釣り船は今、様々な問題に直面しています。

　水平線に連なるおびただしい数の船。スルメイカの好漁場・大和堆の西側で違法操業を行う中国漁船です。 中型イカ釣り漁船 第68徳洋丸・平塚秀樹船長 「去年かおととしくらいから北朝鮮が来なくなってすごくよかったが、次は中国船の大きい船が出てきて、イカがいて量があれば余計に日本のEEZ（排他的経済水域）に入ってくる」 水揚げ量を確保するため去年、大和堆の代わりに向かったのはロシアの排他的経済水域=EEZです。

　水域ではロシアの管理下であれば漁ができ、去年はある程度の漁獲量を確保できましたが、ウクライナ侵攻を受け状況は一変。日本が行うロシアへの経済制裁の影響でロシア水域では漁が出来なくなっています。

　県漁協小木支所・白坂武雄参事 「今年ロシアでとるイカの量を増やしてかなり期待していたが、ここへきてウクライナ問題でロシア水域に入れないというのは中型イカ釣りにとってはかなり大きな損害になる」 大和堆では違法操業がはびこり、ロシアでも漁ができない。中型イカ釣り船団は苦しい状況に立たされています。

　県漁協小木支所・白坂武雄参事 「小木の方にとってはイカを釣るしか自分たちが生活していくことはできないので、漁をどうにか今後も続けていけるように日本の皆さんに安心安全なイカを届けることができるようにどうにか頑張っていきたい」 中型イカ釣り船団は6月上旬に実習生を乗せて今年のスルメイカ漁へと出発します。