「日雇いバイト」で食いつなぐ40代教員の生活困窮、生活保護を受ける非常勤講師も

「日雇いバイト」で食いつなぐ40代教員の生活困窮、生活保護を受ける非常勤講師も

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東洋経済オンライン

生活困窮に追い込まれ、日雇いのアルバイトをする非常勤講師もいる(写真:PIXTA)

公立学校では非正規雇用の教員が増え続けている。その数は全国の公立学校で5~6人に1人に上る。教師という職業に、いったい何が起きているのか。 特集「『非正規化』する教師」の第7回は、非正規雇用の一形態であり、待遇面で最も厳しい非常勤講師にスポットを当てる。

 「日々の授業だけではとても食べていけません。だから教壇に立ちながら、日雇いのアルバイトをするなどして生活してきました」

 近畿圏の高校で保健体育を教える村井真由美さん(40代、仮名)は、これまでの教師生活をこう振り返る。教師として働き始めて20年以上のベテランだが、学校の仕事だけでは生活が立ち行かないという。それは村井さんの勤務が「非常勤」だからだ。

 学校で働く非正規教員には、常勤で働く「臨時的任用教員(常勤講師)」などのほかに、授業だけを受け持つ「非常勤講師」がいる。報酬は時給制で、概ね2500円~2800円と一般的なバイトに比べれば悪くないが、持てるコマ数に限りがあることから、月収が20万円に届くことはほとんどない。

■工場やスーパーのバイトで食いつなぐ

 村井さんも平日はほぼ終日学校にいるが、月収は11~12万円程度にしかならない。税金や社会保険料などを支払うと、生活を維持するのは厳しいという。

 「過去には、印刷会社の運搬業務、工場のライン作業などのバイトもしました。スーパーの福引コーナーで大声を上げながら鐘を鳴らしたときは、生徒や保護者に見られないかと冷や汗をかきました」

 村井さんは、これまでの日々をそう振り返る。学校では教師として毅然と振る舞い、生徒に慕われながらも、学校の外では時に「人に見られたくない姿」もさらしてきたという。

 「教師になろうと思ったのは高校時代です。体育の先生に憧れて、私も生徒ときちんと対話ができる、心の温かい教師になりたいと思いました」

 今から20年以上前、そんな夢を抱いて教師を目指した村井さんだが、その後の道のりは苦難に満ちたものとなった。当時、教員採用試験の競争倍率が今とは比べ物にならないほど高く、特に高校の保健体育は倍率が数十倍となることも珍しくなかった。

 村井さんは採用試験に合格できないまま、十年数年の日々を過ごすこととなった。その間は非正規教員として働いてきたが、常勤にありつけた年もあれば、非常勤しかありつけなかった年もあったという。苦しい生活が続く中で、10年ほど前に村井さんは教員を辞め、民間企業の契約社員となった。だが、数年前からは再び学校で働くこととなった。生徒たちとの心温まる瞬間を思い出し、ふと「戻りたい」と思ったのだという。

■生活保護を受ける非常勤講師も

 村井さんは現在、3つの高校に勤務し、1日3~4コマの授業を受け持っている。担当する授業が連続していないため、いわゆる空き時間も発生するが、その間の報酬は一切発生しない。

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