“労働組合の役員”がいつしか出世ルートに……会社に物言わぬ「御用組合」が日本で増える「おぞましい事情」
労働争議はピーク時の約3%に

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日本の労働者は経営者や経営陣に対して、“物言わぬ労働者”になってしまったようだ。労働組合は減少の一途をたどり、雇用者数に占める労働組合員数の割合である推定組織率は低下を続け、労働争議はピーク時の約3%にまで減少している。
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厚生労働省の労働組合基礎調査によると、労働組合数はピークの94年の3万2581組合から21年には2万3392組合へと9189組合(28.2%)が消滅した。ここ20年間でも02年の3万177組合から6785組合(22.5%)も減少している。(表1)
労働組合数の減少と共に、組合員数も大幅に減少している。ピークの94年に1269万8847人もいた組合員は、21年には1007万7877人に2620万970人(20.6%)も減少した。ただ、ここ20年の動きを見ると、02年に1080万608人だった組合員数は、14年には984万9176人にまで減少したが、その後は増加に転じ、20年には1011万5447人にまで回復した。
組合数と組合員数の減少により、雇用者数に占める労働組合員数の割合である推定組織率は、ピークの49年の55.8%から21年は16.9%にまで低下した。労働者の半数以上が組合員だった時代から今では10人に1.6人しか組合員はいない。(表2)
経営者側の“締め付け”

表3
労働組合が弱体化していった要因は様々だが、いくつかの大きな要因がある。その一つが、組合活動が非常に活発だった国鉄や電電公社が民営化されたことで、公務員から民間企業の社員となった組合員に経営者側の“締め付け”が強く働くようになったと言われている。
また、組合を構成する人員の変化も大きな要因の一つだ。 組合数が減少を続けているのに対して、組合員数が持ち直し、増加に転じていることは前述した。この組合員数の増加の背景にあるのが、組合員の変化だ。
特に直近の10年、端的に言ってしまえば、安倍晋三元首相がアベノミクスの成果とする雇用者数の増加によって、“大幅に増加した非正規雇用者”が組合に加入していることが、組合員の増加につながっている。
直近5年間では、パートタイム労働者(非正規雇用者)の組合員は120万人から137万人で推移している。全組合員の12.2~13.7%をパートタイム労働者組合員が占めている。それでも、パートタイム労働者の推定組織率は8%程度に過ぎず、組合に加入しているパートタイム労働者は10人に1人もいないのが実情だ。(表3) そして、労働組合の弱体化にもっとも大きな影響を与えたのが、労働組合が“御用組合化”するなど、性質が変化したことだろう。
組合役員が“出世ルート”



