仮放免の外国人の子ら「家族といたい」 “痛み”にじむ作品展

仮放免中の子どもたちの絵画を見るウィシュマさんの妹で次女のワユミさん(前列左から2人目)と三女のポールニマさん(同3人目)=東京都千代田区で2022年8月19日、和田浩明撮影
入管当局の拘束を一時的に解かれた「仮放免」中の外国籍家族の子どもたちが「家族の絆」への思いを込めた絵や作文の展示会が19日、日比谷図書文化館(東京都千代田区)で開催された。
展示会には名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で収容中の2021年3月に死亡したウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の遺族らも訪れ「日本で家族と暮らし続けたいという子どもたちの願い、痛みが伝わる作品」と話した。
展示会は入管行政の改善を求める弁護士グループ「入管を変える!弁護士ネットワーク」や学生、市民の団体「BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)」などが開催した。弁護士らによると、未成年の仮放免者は20年で約300人。親が在留資格を失ったため、子どもたちにも在留資格がない。日本で生まれ育ったが、入管当局の判断で強制退去処分をいつ受けるか分からない状態だ。
この日までに、アフリカ、南米、東南アジアなど8カ国にルーツを持つ子どもたちから絵画29点、作文12点の応募があった。作家の中島京子さん、大学で哲学を教える永野潤さんが審査し、「作文大賞」にペルー国籍の女子高校生、「絵画大賞」にバングラデシュ国籍の男子中学生の作品を選んだ。
「作文大賞」の女子高校生は日本語で、生まれて教育を受け生活する日本は「母国であり、とても大切な場所です。そんな大好きな日本で私はこれからも暮らしていきたいです」と訴えた。さらに「私と兄、母はビザがなくとつぜん家族が離ればなれになるかもしれません。なので、みんなでずっと笑ってすごしていきたいと思っています」とつづり、日本での暮らしが断ち切られる可能性への恐怖に触れた。同じような状況にある仮放免の子どもたちの声が政治家などに届くように「私の絵やメッセージが少しでも多くの人の心に響くことを願っています」と結んだ。
「絵画大賞」の男子中学生は主催者側のインタビューで、在留資格の取得を求め「家族とずっと一緒にいたい」と訴えた。作品は家族の様子を描いた。
中島さんは作品について、入管施設への収容や強制送還などで家族がバラバラになる恐怖を含めて子どもたちの「現実」が描かれていると指摘。「多くの人の目に触れてほしい」と話した。永野さんは「家族の様子に共感し、温かい気持ちになると同時に、厳しい状況にも考えさせられる作品だった」と話した。
主催団体の駒井知会弁護士は取材に「仮放免の子どもたちの状況を広く知ってもらい、法相の判断で日本にとどまれる在留特別許可などが得られるよう、今回の絵や作品をオンラインで発信することも検討したい」と話した。【和田浩明】
