「僕たちは国境離島の捨て駒か」台湾を巡る米中対立の緊迫化 自衛隊配備進む石垣と宮古【基地の島の知事選】

「僕たちは国境離島の捨て駒か」台湾を巡る米中対立の緊迫化 自衛隊配備進む石垣と宮古【基地の島の知事選】

2022年8月30日 09:22

[たゆたう思い 基地の島の知事選](4)

「台湾有事になれば石垣は真っ先に狙われる。でも本土にとっては一つの壁ですよね」と話す内間輝さん=29日、石垣市

 軍備増強する中国を脅威とみて、国は南西諸島で自衛隊配備を進めている。石垣島では陸自のミサイル部隊が来年3月に発足予定だが、台湾を巡る米中対立の緊迫化で抑止力としての存在意義が揺らいでいる。

 中国は4日、ペロシ米下院議長の訪台に反発し、台湾周辺で軍事演習を実施。日本の排他的経済水域(EEZ)内の波照間島や与那国島周辺海域に弾道ミサイルを落下させた。

 石垣市の会社員、内間輝さん(27)は「戦火に巻き込まれる自分や家族の姿が浮かんだ」と語る。自衛隊配備についてはネガティブな印象を強くした。

 台湾有事が起きて日本が「敵」と見なされた場合、ここは中国にとって最前線の敵地になる。「相手は出撃や反撃を恐れ、真っ先に石垣島を狙ってくるだろう」と予想する。

 一方でこうも思う。「でも本土の人にとっては一つの壁にはなるはず。僕たちは国境離島の捨て駒か」

 知事選には何も期待していない。石垣市民が求めた陸自配備を巡る住民投票条例案は市議会で否決され、司法も追随した。辺野古新基地建設を含め、民意をないがしろにする政治が強行されていることに触れ「誰が勝っても自衛隊基地はできる」とため息をついた。

 諦めの気持ちが強いが、自衛隊が来ることで「抑止力」になるかもしれない。「今は想像できないけど、未来を見るしかない」

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 同じく自衛隊配備が進む宮古島。台湾に出自がある人たちでつくる琉球華僑総会宮古支部長の羽地芳子さん(68)は、台湾有事について「そろそろ心積もりが必要だと思う。自分の身は自分で守るしかない」と覚悟を固めている。

 結婚を機に28歳で宮古島に移り住み、4年後に日本国籍を取得した。現在、下地洲鎌で台湾の雑貨を扱う「台湾屋」を営む。トライアスロンや100キロマラソンで中国語の通訳や連絡係を担い、宮古島市と姉妹都市の台湾・基隆市との仲介役も務めるなど、沖台交流に汗を流してきた。

 幼少の頃から台湾有事への不安は常にあり、今も現地のきょうだいたちとは連絡を取り合う。中国が4日に行った台湾周辺での軍事演習の時はかなり心配したが、こう返された。「お前たちの方が危ないよ」

 「台湾の人は何かあってもどこにも逃げられない。宮古島も自衛隊が配備されていようがこんな小さな島だから、ミサイル一発で終わるよ」。幼少から同じ危機感を抱いたまま、有事が起きないことを願う。

 知事選では、国防政策で投票先は決めない。「コロナ禍もあって自分のことで精いっぱい。どうやって店を守るかということだけ」。コロナ禍で台湾との交流が止まっている今、自分にとって一番大事なことのために投票する。(八重山支局・粟国祥輔、宮古支局・當山学)=おわり

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