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運動は一人から始まる――小さな力を結集してもう一度民主主義国家に
投稿日:
2022年10月6日
作成者:
danketu
レイバーネット記事転載
運動は一人から始まる――小さな力を結集してもう一度民主主義国家に
〈「アンダーコントロールと言って消えた人」安倍国葬と原発〉
ゲスト:鎌田慧さん(ルポライター) 吉沢正巳さん(希望の牧場)
企画・司会:堀切さとみ
国民の60%を超える大反対を押し切って行った国葬(儀)、それに対抗した市民の各地で自然発生的に盛り上がった反対抗議行動。その想いをどう進めていくのか? 171号で、「巨大な空洞だったアベ的なものはしぶとく残るのではないか? これを市民がちからを合わせて消し去り、きちんとした民主主義を作っていかなければならない」ということだったが、それを受けて企画が話し合われた。「国葬後をどうするか」と「原発の新設と再稼働」に焦点を当てよう。安倍が『復興五輪』と大ウソをついたことから始まったこの政権の作ったものを払しょくしなければならないと検討された。堀切さとみさんは、経産省前テント広場11年の集会で、カウゴジラ車と共に吉沢正巳さんが姿を現すと、すかさず声をかけた。彼の快諾と、新宿を中心に国葬反対集会をいち早く呼びかけた鎌田慧さんの出演即諾によって実現した企画である。
内容も、なんとなく「国葬強行されちゃったし……」という浮遊しそうな気持をグッと引き締めてくれた。是非アーカイブ映像で確認してほしいので、これはいつもより簡単にしたつもり……。
アーカイブアドレス:
https://www.youtube.com/watch?v=OFJ2obTnLd8
〇止むに止まれず呼びかけた鎌田慧さん
鎌田慧さんは数人の呼びかけ人で始めた反対運動が、やるたびに大きく成長していくのを体感できたし、運動はやれば受け入れられると再認識し、自信をもったという。鎌田さんたちが声を上げたのは、いつも市民運動の中枢にいる人たちが、広島・長崎の平和フォーラム開催などで忙しかったからという。8月の9日の新聞で呼びかけ、16日に第1回の集会を行った。このころ私は、どこかで反対運動が起きないだろうかとドキドキして待っていたし、レイバーネット川柳班では川柳デモをしようと呼び掛けてもいたので、早速参加。鎌田さんたちに感謝している。
鎌田さんは続ける。この時の参加者は、せいぜい300人と思っていたら800人。集会後のデモではふつう減るのに1000人に膨れたと。市井の雰囲気もはじめは安倍に同情的だったが、費用の途轍もなさや統一教会との絡みが明るみに出るにしたがって、どんどん反対が増えていった。
〇策士策に溺れる
岸田の人気取りの「思い付き国葬」が大きな躓きになった。しかも統一教会と縁を切ると岸田は言ったが、これまでの岸・笹川・児玉ら自民党との経緯からみても、それは自民党そのものを切ることにつながり、実現は難しいだろう。
〇吉沢正巳さんは「安倍と国葬を糾弾」とカウゴジラで都内を回る
原発の事故で浪江町に人が帰ってこない現実がある。いつまでたっても2万の人口が、2千人しかいない中での「復興五輪」である。請戸の魚キャンペーンとか、立派な道の駅ができても、復興は何なのか? とみんな思っている。安倍が殺されたことで、いろんな思いが、一気に噴き出した。お二人の運動現場での様々な想い、様子、反応が次々と「言葉」になって出て来る。「運動は一人ではじまる(牛一頭の命を守るために頑張っている吉沢さんに対して鎌田が)」「膿だらけだから出し切れない。(鎌田)」「膿は一突きでバァーと出て来る(吉沢)」「歴史の転換点。いい時代に生きている(鎌田)」などなど
〇原発事故はコントロールされていたのか
わずか2年半後に事故被害を矮小化して、五輪を誘致した。「アンダーコントロール」と大ウソをついて!ここで「被曝牛と生きる」の予告編が流れる。「存在が許されない命がある」と殺処分される牛たち。それを守る吉沢さん。吉沢さんは11年前、人間を含めたすべての命を見捨てた。極限での命の破棄、みんなの心の傷となって、重いと振り返る。牛の命を守るという社長らと共にバリケードを乗り越えて餌を運んだ。その行動を、「反政府的活動」と本人は言う。途中、信念が揺らぎながらも、これは「意地」の問題、世の中に正しい意地があるかもしれないと。経済しかこの世に物差しがないかの状態で、牛たちの命の意味を問い続けた。この牛たちは、この原発事故の、見捨てられたすべての命のシンボリックな存在に なると思ったという。
1年くらいたって、牛の黒毛に白い斑点が20頭に出た。その調査を国に依頼したが、結果は「分からない」。真実は言えないのだ。この牛たちは、まだ10年は生きていく。会社は解体されたが、吉沢さんは個人として引き続き後10年、牛を守るという。
〇汚染水の海洋投棄と漁師たち
浪江町には、請戸の漁港がある。しかし、この漁師たちは結構な高額の漁業補償金をたびたび貰う。その依存体質は際立っていると吉沢さん。鎌田さんの著書『日本の原発危険地帯』の中に、地元民がどう懐柔されていくかが書かれている。地元の地権者や、マスコミなどにも膨大な「カネ」を使い、最終的に電力料金で回収する。
〇岸田の再稼働宣言はファシズムだ
安倍さえも言わなかった「国が前面に立つ」再稼働と原発の新設。これは、ファシズムだと鎌田さん。「非常事態宣言」下にある日本。その中で、再稼働や新型原発の製造は実際には無理なのに、ただ再稼働させたいからなのだと鎌田さんは指摘。発電していない日本原電が黒字なのも市民からお金を巻き上げているからという。
再び鎌田さんは、吉沢さんのように一人でも立つ、一人でも闘うという思想が、原発の運動の中から生まれてきたということが大事という。『原発に子孫の命は売れない』(恩田勝亘)には、請戸のホッキガ貝からコバルト60が見つかり、売れなくなったと書いてある。
浪江町は粘り強く原発反対運動をして来て原発は来なかったのに、被害だけ来るという結果になった。歳を重ね、肉体的には満身創痍でありながら、穏やかに、しかも力強く活動を続ける鎌田さんは「これからは反撃するときも。希望を持ってやっていきたい」という。
最後に、高校時代から信念を貫いてきた吉沢さんの事故直後に抱いた思いを託す言葉「原発爆発14㎞地点 決死救命団結!」(死をもって命を救う)を染め抜いた赤い旗が、スタジオに翻った。
〇今日の「5分(ファイブミニッツ)は、乱鬼龍さんの川柳とジョニーHさんの替え歌
「国葬反対そこから見えた明日がある 乱鬼龍」 「国葬の跡に民主主義の墓 笑い茸」
ジョニーHさんの替え歌、国葬反対メドレーⅡ「理屈じゃねえんだ国葬」(飾りじゃないのよ涙は)」「国葬ポットマンボ(笑うセールスマンマンボ+)」が唄われた。
次回173号は、10月12日19:30より 『給食から日本と世界を考える』。企画担当は白石孝さん。
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