絶滅危惧のアマミノクロウサギ、推定生息数7倍に増加 天敵駆除で

絶滅危惧のアマミノクロウサギ、推定生息数7倍に増加 天敵駆除で

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毎日新聞

推定生息数が大幅に増えたと発表されたアマミノクロウサギ=鹿児島県の奄美大島で2017年7月8日午前9時16分、神田和明撮影

 鹿児島県の奄美大島と徳之島の固有種で、絶滅危惧種に指定されている国の特別天然記念物・アマミノクロウサギについて、環境省は、2021年時点の推定生息数が計1万1549~3万9162匹とする調査結果を発表した。03年の前回推定から5~7倍ほどに増えており、同省はクロウサギを捕食するマングースの駆除やノネコの捕獲といった保護に取り組んだ成果とみている。

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 推定値は同県奄美市で16日にあった希少野生生物保護増殖検討会で公表。島別では、奄美大島が1万24~3万4427匹、徳之島が1525~4735匹とした。沢沿いのふんの調査やセンサーカメラによる撮影状況の他、主要生息地の動画に基づく生息密度などから算出したもので、野生生物の研究者らで構成される検討会は「妥当な数字」と評価した。03年の調査では奄美大島が2000~4800匹、徳之島が100~200匹だった。

 検討会はクロウサギの生息数が一定程度回復したとみており、環境省は今後、絶滅危惧種リスト(レッドリスト)上の分類を絶滅危惧ⅠB類(近い将来に絶滅の危険性が高い種)から、絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)以下にする可能性もある。

 同省奄美群島国立公園管理事務所の阿部慎太郎所長は「生息数は回復傾向にあると感じていた。森林の回復に加え、マングースやノネコ対策の効果も大きい。モニタリングなどは継続したい」と話した。【神田和明】

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