闘う現場から 福島尚文

闘う現場から 福島尚文

 こんにちは、皆さん、大雨の中、各地から集まっていただき、ほんとうにありがとうございます。OB記者の福島です。
 僕も叫びたい「怒り」、思いは山ほどありますが、きょうは2点、「入管難民法の改悪阻止」と「言論を取り戻せ」に絞って訴えます。
 政府は2月、難民申請中であっても送還できるよう改め、監理措置という新制度の導入や強制送還拒否罪などの罰則を加えた入管難民法の改正案を閣議決定しました。しかし、昨年、国連の「恣意的拘束に関する作業部会」が「日本の長期収容は人権規約違反である」として改善を求めたことには答えないままの改悪案です。弁護士グループや専門家たち、それに被収容者と家族を支援して来た市民グループも反対の申し入れを行っています。

今、入管で何が起きているか?

 収容の長期化と劣悪な医療体制、それにコロナ感染です。
 オリンピックを口実にした取り締まり強化と長期収容で、被害者・犠牲者が相次いでいます。一昨年以降、抗議ハンスト中のナイジェリア人男性が大村収容所で餓死し、東京入管でクルド人男性が複数職員に暴行され怪我をした様子が全国で映像放映されたほか、この3月に入って名古屋の収容施設で体調不良を訴えていたスリランカ人女性が急死し、国会でも取り上げられています。思い余った被収容者らの自殺未遂も続いています。
 コロナでは、東京入管でクラスター感染が発生しました。当局が公表した最新の数字によると、2月から3月16日までの間に、被収容者58人が感染し、職員も6人が陽性となりました。今も発熱などの異状を訴える人が数人いるとのことです。幸い女性の被収容者に感染はなかったものの、25人全員が有無を言わさず横浜に移送されたと言います。
 僕たちのグループは2月以降、複数の運動体が一緒に行う共同行動として法務省に入管難民法改正案の問題点改善を申し入れ、また適切な医療とコロナ対応を東京入管に申し入れてきました。長期収容で心身ともに疲弊している被収容者らに適切な医療を受けさせ、感染を防ぐため全員を仮放免するなど、今すぐにやるべきことがいっぱいあります。
 また朝鮮高校の無償化排除をはじめとする在日朝鮮人への差別政策は一貫してヘイトと排外に染まっています。最近の日韓、日朝関係を見ても、日本側には過去の侵略戦争、植民地支配をきちんと清算しようという姿勢が欠けていると思わざるをえません。戦後入管体制は、1980年代以降の指紋押捺拒否闘争などを経て、改善された面もあるものの、一昨年の技能実習制度の変更やオリンピック前の取り締まり強化など、機会ごとに装いを変えながら、管理強化が図られています。
「入管難民法の改悪をみんなの力で、阻止しましょう!!」
 もう1つはメディア=言論の建て直しの問題です。一部は劣悪化し、政府・大企業にしっぽを振る犬になり下がっています。原発や沖縄、米軍基地問題でも、住民や被害者らの声をきちんと届けるべきです。いわゆる「民意」が選挙で示されても、政権のゴリ押しがまかり通る社会は明らかに間違っています。おかしいことはおかしい、と声を上げることが大事です。言論は誰のために仕事をしているのか。まずは記者自身が目覚めなければなりませんが、気づかせるのは皆さん、労働者・市民たちの声です。ある時は叱咤で、またあるときは声援でメディアと市民社会の距離を近づけていかねばならない、と思います。どうぞ、よろしくお願いします。

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