京大が沖縄の墓から遺骨持ち出し訴訟結審 原告「品格をかけて闘ってきた」

京大が沖縄の墓から遺骨持ち出し訴訟結審 原告「品格をかけて闘ってきた」

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京都新聞

京都地裁

 昭和初期に京都帝国大(現京都大)の人類学者が沖縄県今帰仁(なきじん)村にある地元の首長を葬った「百按司(むむじゃな)墓」から研究目的で琉球人遺骨を持ち帰ったとして、首長の子孫や沖縄県出身の大学教授らが、京都大に遺骨の返還を求めた訴訟の第12回口頭弁論が20日、京都地裁(増森珠美裁判長)であり、結審した。判決は4月21日に言い渡される。

【写真】遺骨が持ち出された百按司墓

 訴状や原告側準備書面によると、京都帝大医学部解剖学教室助教授だった金関丈夫氏(1897~1983年)や医学部講師だった三宅宗悦氏(44年戦死)が百按司墓から持ち出した26体の遺骨について、墓を管理する親族らの許可を得ずに盗掘したと主張。先祖の霊魂は骨に宿るとして遺骨そのものが崇拝の対象となっているが、本来あるべき場所にないため、憲法が保障する信仰の自由や民族的、宗教的自己決定権が侵害されたと訴えている。

 原告側は最終準備書面で、原告らが遺骨を管理する民法上の祭祀(さいし)承継者にあたると主張。先住民や少数民族に関する国際人権法も発展しており、そうした法の趣旨も踏まえた判断を求めた。京大側は沖縄県から許可を得た収集で違法な盗掘ではないと反論。原告らは民法上の祭祀承継者にあたらず、遺骨返還の請求権はないと述べた。

 この日、法廷で原告の金城実さん(83)=沖縄県読谷村=が「未来を担う子孫に向けての品格をかけて闘ってきた」と意見陳述。閉廷後、京都市内であった報告集会で原告の亀谷正子さん(77)=同県うるま市=は「日本を代表する大学である京都大には国際的潮流を踏まえて今後の人権問題を考えてもらいたい」と力を込めた。

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