安倍氏死去で半旗掲揚 仙台市教委通知に学校現場困惑 小中2校長が心境明かす

安倍氏死去で半旗掲揚 仙台市教委通知に学校現場困惑 小中2校長が心境明かす

配信

河北新報

仙台市教委の「国旗の掲揚等に関する取扱基準」。弔旗掲揚を市教委や学校が自主判断できるとは読めない

 仙台市教委が市総務局の依頼を受け、安倍晋三元首相の葬儀に合わせ半旗掲揚を全市立学校に求めた問題で、市内の小中学校長2人が匿名で河北新報社の取材に応じた。前例のない経緯で市教委から判断を委ねられた校長らは、当時の困惑した心境を証言した。

 安倍氏が亡くなった7月8日夜、市総務局は政府からの要請や依頼がない中で各部局に半旗掲揚を依頼。これを受け市教委は同11日付で全188の市立小中高校などに、12日の家族葬まで半旗掲揚を求める通知を出した。

 ある小学校長は市教委の通知に従い11日夕と12日昼、半旗を掲げた。校長1人で決断し、教員や児童には説明しなかった。  

「半旗掲揚の理由を教職員や児童に伝えるべきだったが、時間がなかった。本来ならば説明する義務があった」

 市教委からの通知に政府の要請文書が添付されていないことに疑問を感じた。中曽根康弘元首相の合同葬(2020年10月)の際の通知には、政府の要請文書が添付されていた。

 「『あれ、なんで(政府文書がないのか)』と思った。ふに落ちなかった」

 郡和子市長は「強制はしていない。それぞれの学校の判断だ」と主張するが、総務局通知は「遺漏のない対応」を求めていた。加えて市教委から通知があれば「『(半旗掲揚を)やりなさい』と受け止めるのが普通だ」と言い切る。

 掲揚するかどうか相談し合う校長らもいたと聞いた。「掲げる、掲げないの判断が学校によって異なる場合、市民にどう説明するのか。市教委はよく考えずに通知を学校に送ったのだろう。勇み足だ」と憤る。

 政府に先駆けて半旗掲揚を決めた仙台市。中学校長の1人も「通知を読んで『あれ?』と戸惑った」と明かす。

 「何らかの形で弔意を表すことはあるにしても、事件の背景が分からず政府の対応も決まらない中で、市はこういう方針を決めるのかと思った」

 市教委が定める半旗など弔旗の掲揚基準は「国や県、各局区等からの通知等により行う」とする。市教委から学校に出された通知には「総務局長より依頼がありました」「半旗掲揚にご協力ください」との記載があった。

 「通知には困惑したが、市としてそういう方向(半旗掲揚)なんだと受け止めた」と校長は振り返り、実際に掲揚したかどうかは「勘弁してほしい」とだけ語った。

河北新報

カテゴリー: その他 パーマリンク