飲料水の汚染、沖縄駐留の米軍人にも隠す 水質報告書から削除された理由は

飲料水の汚染、沖縄駐留の米軍人にも隠す 水質報告書から削除された理由は

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沖縄タイムス

 【ジョン・ミッチェル特約通信員】

 米海兵隊太平洋基地と在日米軍が、沖縄駐留の軍人に対し、基地内で利用する飲料水が残留性有害物質の有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)で汚染されている事実を隠していたことが10日までに分かった。沖縄タイムスが米情報公開法で入手した米軍内部のメールで判明した。

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■水質報告書から削除

 2019年6月30日のメールによると、PFASのデータは「海兵隊太平洋基地と在日米軍によって示された懸念」により、沖縄に駐留する軍人とその家族に提供される飲料水質報告書から削除された。

 だが、このデータ削除の指示は、嘉手納基地報道部か生物環境工学の担当者と推定できる者によって疑問視された。

 同担当者が書いた7月19日のメールでは「海兵隊太平洋基地と在日米軍の誰がPFASのデータを含めることに反対したのか? 

 これは法務将官によって許可されたのか?  この点をもう少し理解したい」と疑問を呈している。法務将官は、軍に法律的な助言をする職務だ。

 沖縄タイムスが普天間飛行場と嘉手納基地の飲料水質報告書を調べたところ、PFASのデータは18年と19年の報告書から削除されていた。20年に再び掲載された。

■削除された理由は

 沖縄タイムスは海兵隊太平洋基地と在日米軍に問い合わせ、誰の権限で、どんな理由でPFASのデータが削除され再掲載されたかを明らかにするよう求めたが、10日までにどちらの組織からも回答はない。

 しかし、米情報公開法で米軍から入手した他のメールには、削除された理由とみられる記述がある。16年1月21日のメールは、海兵隊上層部が沖縄のPFAS汚染問題にどのように関心を寄せていたのかを示している。

 同日の別のメールで、沖縄には「以前、海兵隊キャンプ・レジューン(ノースカロライナ州)で起きた環境保全の違反が基で、(飲料水の水質に)神経質になった海兵隊員が軍の家族用住宅に住む者の中に一定程度いる」との懸念が記されていた。

 このコメントは、キャンプ・レジューンで汚染された飲料水を飲んだことで、何万人もの軍人とその家族が燃料や溶剤、その他の有害化学物質にさらされたという近年米国史上で最大の飲料水汚染事例の一つに言及している。

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