「無罪を取り戻したい」 満期出所の田辺さんが会見 豊川男児殺害

服役を終えて出所し、再審請求への思いを語る田辺雅樹さん(中央)=大分市で2022年8月20日午前10時半、藤顕一郎撮影
愛知県豊川市で2002年、ゲームセンター駐車場から当時1歳10カ月の男児を連れ去り、海に投げ落として殺害したとして殺人罪などで懲役17年の刑が確定し、服役していた田辺(旧姓・河瀬)雅樹さん(55)が、大分市の大分刑務所を満期出所した。獄中から無罪を訴え、再審請求していた田辺さんは20日、大分市内で記者会見し、「一日でも早く無罪を取り戻したい」と改めて冤罪(えんざい)を主張した。
確定判決によると、田辺さんは02年7月、駐車場の車内にいた男児を自分の軽乗用車に乗せて連れ去り、愛知県御津(みと)町(現・豊川市)の岸壁から海中に投げ落として殺害した。
事件は有力な物的証拠がなく、公判では逮捕後の自白の信用性が最大の争点だった。06年の1審・名古屋地裁判決は「殺害方法の変遷などがあり、捜査官の誘導を否定できない」として田辺さんを無罪としたが、2審・名古屋高裁は07年、自白の信用性を認めて逆転有罪判決を出し、08年に最高裁で確定した。田辺さんは16年7月、「自白は捜査官に誘導された」として名古屋高裁に再審請求。19年1月に棄却され、同高裁の別の部で異議審が続いている。
19日に大分刑務所から出所した田辺さんは20日の記者会見で「いつ再審で無罪が出るのかをずっと考えていた。(服役期間は)非常に長く無駄な時間だった」と話した。事件については「当時(ゲームセンターの)駐車場に寝泊まりしていただけ。全く関わっていない」と改めて主張。捜査段階で自白した点について「威圧的な取り調べを受け、『やっていない』と何度も言っても信用されず、物的証拠があると問い詰められた」と当時を振り返り、「自白だけで有罪となり悔しい気持ちでいっぱい」と憤った。
一方、愛知県内で暮らす男児の父親(45)は取材に「(田辺さんが)仮に冤罪であったとしても『どうしてうその自白をしたのか』という怒りは消えず、複雑だ」とし、再審請求については「今更なんなんだという気持ち。もうそっとしてほしい」と語った。【藤顕一郎】
