原発運転員の4割「運転経験なし」…10年以上停止の島根原発、再稼働に向けOBと訓練

原発運転員の4割「運転経験なし」…10年以上停止の島根原発、再稼働に向けOBと訓練

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読売新聞オンライン

 松江市の中国電力島根原子力発電所には、2号機の心臓部である「中央制御室」をそっくりに模したシミュレーター室がある。

島根原発2号機の中央制御室を模したシミュレーター室で、原子炉の起動訓練を行う中国電力OBの牧野さん(左)と現役運転員の小川さん(7月、松江市の島根原発で)

 「原子炉の起動訓練をはじめます」

 この部屋で7月、中国電力OBの牧野寿(ひさし)さん(65)が、運転員の小川翔さん(27)に声をかけた。再稼働を見据え、炉内で発生させた蒸気で発電用タービンを回し始める想定で、小川さんがスイッチを操作すると、2人で計器を指さしながら確認した。

 現在停止中の2号機は原子力規制委員会による約7年8か月にわたった安全審査に「合格」した。ただ、島根原発は10年以上停止しており、運転員107人のうち38%に当たる41人に運転経験がない。中国電力は今年度から、30年以上のキャリアがある元運転員の牧野さんに依頼し、訓練を始めた。

 2013年入社の小川さんも運転経験がなく、「手引書を読むだけでは身につかない感覚を学び、自信を持って再稼働に臨みたい」と意気込む。

 運転員の経験不足は、19日に発足10年を迎える規制委の審査の長期化で再稼働が進まないことが背景にある。読売新聞のアンケート調査によると、同社を含む再稼働していない7社の運転員の4割に運転経験がないことがわかった。

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