『第2インターナショナルの崩壊』から何を学ぶべきか・・・森川文人弁護士

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 約100年前、ヨーロッパには各国の労働組合の国際的な組織として第2インターナショナル、という存在がありました。国際的な連帯と団結を求める、つまり、各国の労働者同士繋がっていこうということです。素晴らしいことですよね。

ところが、「第2インターナショナルは労働者の国際的連帯を強調したが、現実に一般の労働者はそれぞれ国民国家の枠組みのなかで暮らし、自国の富国を願う点で人後に落ちなかった。学校教育は彼らに愛国心を植えつけた。また選挙権の拡大を通じて、間接的にせよ、労働者が国政に参与する一方、保護貿易や社会政策といった国家の調整機能が増大するにつれ、労働者は国家に抑圧者以外の顔を見るようになった。また分け合うパイを大きくするという理由から、海外発展は『中心』諸国の勤労者によっても歓迎されたが、そのとき彼らが搾取される『周辺』世界の民衆の身の上に思いをはせることがなかった。」(『山川世界現代史』)

結果、第2インターナショナルの国際連帯は崩壊し、それぞれの国の労組は、それぞれ「祖国防衛」に回ってしまい、第1次世界大戦に突入していったのは歴史の事実です。

 今、集団的自衛権の議論が国会を中心になされていますが、この突出した議論のウラに、「個別的自衛権」とか「専守防衛」は当たり前、というような「常識」が確立されようとしているような気がします。

 あたかも、国である以上、自国防衛のための戦争をするのは当たり前、とでもいうように。

 そうでしょうか?ともかく「お国のため」というお題目は、私たちの中にかなり決定的に植えつけられている、と自覚します。

 「今は昔と違って、そんなことないよ~」と思いますか。「中国が攻めてきたら」「北朝鮮が攻めてきたら」なんて話に動揺せずに、きちんと国際連帯の発想を貫けますか。

 そもそも、かつての日本軍も守ろうとしたのは、日本の資本、政府、天皇等の要人であり、国民は捨て石として動員されただけ。沖縄戦しかり。国の軍隊は私たち国民を守ることなどありません。ただの「お題目」です。

 自国の政府や資本と協調していこう、いけるよ、なんて甘い発想(日和見)が、結局は、排外主義の戦争を容認することになる、これが第2インターナショナルの崩壊の教訓だと思います。

 むしろ、戦争をしようとする「政府」こそ、もっとも私たちの命と利害対立する存在、それは、どの国でも同じです。従って、この「政府」を入れ替えて、私たちのものにし「本当にコントロール」することが、実践的な反戦行為だし、国際連帯だと思います。

 今だからこそ、中国や、韓国、北朝鮮の人たちと繋がっていきたいですよね。100年前と違って、インターネットやら手段はあるはず。そして、戦争をしようとしている各国の政府を打倒することを目標に連帯する。そのことを伝え合うだけでも大事だなと思います。

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