特急脱線、50人死亡 台湾東部、邦人親子負傷
2021年04月02日22時51分
【台北時事】台湾東部・花蓮県で2日午前9時30分(日本時間同10時30分)ごろ、交通部(交通省)台湾鉄道管理局(台鉄)が運行する特急列車が脱線した。一部の車両は大破し、同部によれば運転士ら乗務員2人を含む50人が死亡、146人が重軽傷を負い病院に運ばれた。
〔写真特集〕台湾東部・花蓮県で特急列車脱線
日本台湾交流協会台北事務所(大使館に相当)によると、50代男性と20代女性の邦人親子が軽傷を負い、手当てを受けた。台湾外交部(外務省)は、死者にはフランス人1人が含まれ、オーストラリア人1人が負傷したと明らかにした。
列車内には一時、多くの乗客が取り残されたが、車両の大部分はトンネル内にあり、救助活動は難航した。蔡英文総統は2日、乗客の救助に全力を挙げると同時に、徹底した原因究明を指示した。地元紙は「鉄道事故としては約半世紀ぶりの大惨事」と報じている。
台鉄によると、脱線した特急列車「タロコ号」は日立製作所製の8両編成で、乗客は492人。台北郊外・新北市の樹林駅から東部・台東県の台東駅に向かって南下していた。線路脇の斜面の上に止まっていた作業用車両が線路内に落下し、列車がこれに突っ込んだもようだ。
2日は4連休の初日で、タロコ号は帰省客や観光客で満席の状態だったとみられる。台湾では2018年10月にも、特急列車「プユマ号」が脱線し18人が死亡、291人が重軽傷を負った。
台湾列車事故(2021年4月2日)について;
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事故のあったトンネルのある線路の脇で、トンネルの安全強化の工事が行われていた。
作業をしていた会社の主任が、視察で工事用車両を使った後、休もうとして本来禁止されている工事用道路の坂に車を停車させた。この時、ブレーキをかけなかった(あるいはブレーキが故障していた)ため、車は坂の斜面から落ち走ってきた列車に衝突し、大事故を引き起こした。
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これが直接の原因だとされているが、さらに次の点を指摘する声がある。
一つはこの工事会社は民間だが、台鉄から外注化されて工事をしていた。つまり外注化によって安全管理がないがしろにされていたということ。
請け負った民間会社の責任は否定できないにしても、台鉄は外注化したことを理由にして、損害賠償まで請求してその責任を逃れようとしている。
二つに、台鉄の多くの線路が、「鉄路法」が定める143.5センチの標準軌ではなくて、(特別な事情を理由にして付け替えず)日帝の植民地時代の狭軌106.7センチを使っている。
事故の現場は北廻線といわれる地形が険しいところ(台湾東部)だが、他の線路と連結させるため狭軌で戦後建設された。そこを傾斜式(振り子型)列車が時速130キロで走行している。
⓷ 以上の事実から、本質的には台鉄による工事の外注化と列車運航の安全対策の放棄にあったと指摘することができる。
(追記)
*なお、これはあくまでも今の段階で明らかになっている事実関係からの推論であり、今後さらに事態が変わってくる可能性はあります。
*2018年に起きたプユマ号の脱線事故の一因も、この狭軌の問題があったとされています。
いずれにしても、台鉄の経営の本質が問われています。
なお、この台鉄と最も関係の深い企業が日本のJR東海であり、JR東海が輸出(製造は川崎重工業、日立製作所、日本車両製造)した台湾新幹線の赤字問題や、その「技術協力」を通じてのJR経営の台鉄経営への影響も考えられます。
トンネル幅の狭さが被害の大きさにつながったことが指摘されています。この事実も、安全を無視し法律に違反して、日帝植民地時代の狭軌の基準で戦後も建設・運営してきた台鉄の問題の反映でしょう。
台鉄産業労働組合声明
死者の冥福と負傷者の早期の回復を願い
労働組合は監督を続け改革を実現する
昨日起きた408号タロコ(太魯閣)号事件に接し、台鉄産業労働組合は心からの悲しみと哀悼を表明し、すべての死者の冥福と生存者の早期の回復を願います。
しかし私たちは歩みを止めて、台湾のための哀悼を捧げることも、あるいは台湾鉄道のために哀悼を捧げることも選びません。私たちは事故が何故発生し、どうして私たちの愛する同僚や親友を失わなければならなかったのかを、なお続けて追及しなければなりません。どんな事故にも背後には、必ず細かい不注意、さらに人為的なミスがあるからです。
外注化された工事の車両が坂から線路に落下したことで、タロコ号に真っ向から衝突し、トンネル内で脱線が起きたこの事故。台鉄の公式声明の中には、哀悼、全面協力、および「工事会社への賠償」があるだけで、台鉄管理局および交通省の何らの反省も見ることができません。
プユマ(普悠瑪)号事件から2年余りが過ぎ、多くの家族の賠償要求が未だ済んでいませんが、台鉄のその後の対応は「傲慢」「怠惰」以外のなにものでもなく、賠償に対して誠意がなく、改革にも積極的態度がありません。
今回起きた事故によって私たちの若い運転士同僚二人の命が奪われ、50数人の民衆の命が失われました。交通省及び行政院(注、台湾の最高行政機関で、内閣と各省庁を併せたもの)は、台鉄の惨状をどこまで無視するのでしょうか?
労働力不足は人手不足となり、人手不足は業務緊縮となり、業務緊縮は外注を要求します。安い外注は表面上は政府の予算の節約ですが、実際には公共安全に影響を及ぼします。ここ数年の間、政府は不断に民間会社に外注してますが、大小の入札企業の質には差があり、それは民衆の安全を後回しにすることに等しいです。
台鉄は、(事件の)責任とは何の関係もないというのでしょうか? 台鉄産業労働組合は、そう思いません。私たちは過去四年間にわたって、不断に「労働人員」「設備」「制度」さらには「文化」に至るまでの改革を不断に訴えてきました。しかし台鉄及び交通省は依然として無関心であり、それぞれを遅らせ、責任逃れをし、無視し、もっと悪くなるままにまかせます。
現在、大事故が発生するに至りましたが、台鉄はなお責任をすべて外注企業に投げつけるのでしょうか? 労働力不足や人材の流失、さらに旧来の制度文化の守旧とそれによるごまかし等の必要な改革の核心問題を、台鉄はやはり直視すべきなのです。
ここで台鉄管理局、交通省さらに行政院に訴えます。全力を挙げてやるべき救援活動とその後のケアと賠償をした上で、さらに労働組合の訴えと要求に真正面から応えて、改革を実行すべきです。そうしてこそはじめて、民衆と鉄道労働者にとって真に安全に家に帰ることができる鉄道になるのです。




