国、上告断念の方針 強制送還「違憲」判決確定へ

国、上告断念の方針 強制送還「違憲」判決確定へ

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時事通信

東京高裁が入る裁判所合同庁舎=2020年4月、東京都千代田区

 難民不認定処分を受けたスリランカ人男性2人に対し、入管が裁判を受けさせず強制送還したことを違憲と判断した東京高裁判決について、国が上告を断念する方針を固めたことが4日、政府関係者への取材で分かった。

【図解】主要7カ国の難民認定率  

 上告期限は6日。民事訴訟での上告は、判決が憲法違反か法令手続きに違反がある場合などに限られており、国は困難と判断したもようだ。原告側も上告しない方針で、入管の強制送還をめぐる初の違憲判決は確定する見通しとなった。

 判決などによると、2人は難民不認定処分を受けた後の2014年12月、入管施設に収容。不認定処分への異議申し立ての棄却決定を告知された翌日に強制送還された。

 東京高裁は9月22日、棄却決定は告知から40日以上前に出ており、「入管は告知を意図的に遅らせた」と認定。「司法審査を受ける機会を実質的に奪い、憲法に違反する」として2人の請求を棄却した一審判決を変更、国に計60万円の賠償を命じていた。

 上川陽子法相(当時)は同24日の記者会見で、難民認定申請に関する運用を今年6月に変更したと説明。難民と認められなかった場合、送還は原則として本人に不認定処分を告知してから2カ月以上後にしたとしており、今回の判決が確定しても、実務上の影響は少ないとみられる。

 外国人に裁判を受けさせずに強制送還した入管の対応については、名古屋高裁も今年1月、違法と判断し国に賠償を命令。国は上告を断念し、判決が確定していた。 

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