「黒い雨」被爆者手帳を集団申請 広島市に100人以上

「黒い雨」被爆者手帳を集団申請 広島市に100人以上

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朝日新聞デジタル

「黒い雨」訴訟の控訴審判決の言い渡し後、「全面勝訴」の旗を掲げる弁護団。その後、菅義偉首相(当時)の談話が出たこともあり、原告以外の被害者が声を上げ始めた=2021年7月14日、広島市中区、上田潤撮影

 広島への原爆投下後の「黒い雨」をめぐり、広島市の100人以上が11日、市に被爆者健康手帳の交付の集団申請を始めた。

 訴訟の弁護団によると、200人規模に達する可能性もあるという。7月に原告84人全員を被爆者と認めた広島高裁判決を受け、菅義偉前首相が、原告と「同じような事情」の人の救済も早急に検討するとの談話を出している。

 手帳を交付するための新たな指針が策定されることを見越しての申請となった。

【画像】黒い雨を浴びた人たちの調査の記録。「若死」「40代で死亡」などの文字が並ぶ

 集団申請したのは、裁判の原告と同様、国の援護対象外の地域で「黒い雨」を浴びるなどした人たち。菅氏の談話を受け、弁護団が開いた相談会などに参加し、申請書類の作成を進めていた。

 このうち広島市以外に住む人々も11日以降、各自治体に個別に申請するという。

 菅氏の談話後、広島県と広島市、厚生労働省の担当者はこれまでに4回、オンラインで協議した。ただ、具体的な新指針案は示されないままで、策定時期も固まっていない。

 広島市の松井一実市長は10月8日、首相官邸で岸田文雄首相と面会し、遅くとも来年4月から新指針により被爆者健康手帳を交付できるよう求めた。(岡田将平、福冨旅史)

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