欅坂46も立憲民主党議員も…「ナチスをもてあそぶ日本人」にドイツ人がドン引きする理由

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文春オンライン

ドイツで「ヒトラーを褒めたら」どうなるのか ©Getty

デリカシーのない日本人の発言の数々

ドイツで「ヒトラーを褒めたら」どうなる?

 ヒトラーは世界を第二次世界大戦へと導き、数百万人のユダヤ人に対する虐殺、いわゆる「ホロコースト」を行いました。ドイツ人にはその事実から目を背けてはいけない、ナチス思想は絶対に擁護してはいけないという共通認識があります。  法律でもそれは厳しく制限されています。ドイツ刑法130条「民衆扇動罪」では、「アウシュヴィッツのユダヤ人大虐殺などなかった」「虐殺されたユダヤ人の数はもっと少なかった」といった類の発言をはじめ、ヒトラーやナチスドイツを礼賛する言動が禁止されており、違反すると禁固刑に処せられる可能性があります。

 また、ドイツ・非ドイツ人を問わず、国内でハーケンクロイツを見せたり、ナチス式の敬礼をすることも禁止されています。2017年にはベルリンの連邦議会議事堂前でナチス式敬礼をした中国人観光客2名が現地警察に逮捕されました。

 ナチス思想の復活を防ぐため、ドイツの外務省も1月27日の「国際ホロコースト記念日」では犠牲者の追悼をするとともに、「二度とこのような犯罪を起こしてはならない」と発信し続けています。

 先月10月18日は「ユダヤ人の絶滅収容所への移送開始」からちょうど80年の節目の日。この日、ドイツのシュタインマイヤー連邦大統領はベルリン・グルーネヴァルト駅で行われた追悼式に出席し、「反ユダヤ主義が我々の社会で再び許容されることは決してあってはならない」と述べました。東京のドイツ大使館も翌日に追悼式の様子をツイートしています。

日本とドイツ、教育の違い

 ドイツでは子どもの教育の場でも、ナチスの失敗を学べるよう徹底されています。例えば、『あのころはフリードリヒがいた』はドイツで教育を受けた人なら誰もが知っている本です。  この本は子どもの立場で描かれています。主要登場人物は、ヒトラーが政権を握る前から同じ集合住宅に住んでいたユダヤ人の男の子「フリードリヒ」とドイツ人の「ぼく」。  家族ぐるみの付き合いがあり、互いの家に遊びに行ったり、休みの日に一緒にプールで遊ぶなど子どもらしい日常が綴られています。しかし、そんな日常が少しずつですが、確実に悪化していきます。  仲良くしていたはずの隣人から突然冷たくあしらわれたり、通っていたプールの管理人から「汚いユダヤ人が! 二度とプールに来るな!」などの罵声をあびせられたり。最終的には、集合住宅の管理人のせいで防空壕に入れなかったフリードリヒは、空爆によってその短い命を失います。  本では最初から最後まで一貫して、「普通の市井の人々」があたかも自然の流れかのように加害者になっていく様が描かれてます。筆者も子どもの頃に読みましたが、今も忘れられない一冊です。  日本では戦争の加害者性を見つめるような教育がなされません。小中学校で読まれる本の中には日本人が被害者として描かれた本が多く(もちろんそれも大切な視点ですが)、「日本人よって苦しめられた人々」の話を子どもたちが知ることができる機会が少ないことが気になります。 『あのころはフリードリヒがいた』を読み、学校の授業の一環で街の近くにある強制収容所跡地に出かけるといった教育を受けてきたドイツ人にとって、「ホロコーストをジョークにする」というのはありえないことであり、ナチスドイツによって多大な被害を受けたドイツ近隣諸国の人たちにとっても、それはまたありえないことなのです。

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いまだ解消されぬ日本とドイツ「価値観のズレ」

 筆者は日本が大好きですが、「ホロコースト」に対する価値観のズレについては時折驚くことがあるのも事実です。あれは忘れもしない2014年の年明け。近所を散策中、コンビニに行ったら、『眠れなくなるほど面白いヒトラーの真実』というタイトルの本が目に留まりました。嫌な予感とともにページをめくると、出るわ出るわ「ナチスへの称賛」が。

 内容をかいつまんで紹介すると、「ヒトラーは色々と問題視されがちだけど、素晴らしいところもあった」というものでした。彼の経済政策や、少子化対策を褒め称えているわけですが、そもそもそれらは戦争を目的としたものでした。にもかかわらず、本でそのことには一切触れていません。

 さらに許しがたいのは、ナチス政権のユダヤ人虐殺が実際には計画的なものであったにもかかわらず、本ではそのことに触れず、「ドイツからユダヤ人を追放したい」という考えがエスカレートした結果、偶発的に起きたものであったかのように書かれていたことです。幸い、この本はドイツやイスラエルなど各方面から抗議があったため発売後に早々と回収されました。

 残念なことに、こうした歴史があるにも関わらず、いまだナチスを軽く扱う日本人が絶えません。ホロコーストについて「昔のことだから、もういいじゃないか」と言う人にはこう問いたいです。もし被爆者や拉致被害者について同じように言われたら、どう思いますか。

サンドラ・ヘフェリン

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