判決後の記者会見で「無罪の主張が認められず、大変残念。私は子供の遺体を捨てたり隠したりしていない」と訴えるレー被告＝福岡市中央区で2022年1月19日午後3時25分、栗栖由喜撮影

　熊本県芦北町で2020年11月、産んで間もない双子の遺体を遺棄したとして死体遺棄罪に問われたベトナム人技能実習生、レー・ティ・トゥイ・リン被告（22）の控訴審判決で、福岡高裁は19日、懲役8月、執行猶予3年とした1審・熊本地裁判決（21年7月）を破棄し、懲役3月、執行猶予2年を言い渡した。

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　辻川靖夫裁判長は「実習を続けるために妊娠、出産を隠そうと考えて犯行に及んだことは一定程度酌める事情がある」などとして法定刑下限の量刑に減刑した。無罪を主張した被告側は上告する方針。 　控訴審判決によると、20年11月15日ごろ、自宅で出産直後に死亡した双子の男児の遺体を段ボール箱に入れて接着テープで封をし、自室の棚の上に置いた。

　被告側は「埋葬するつもりで（遺体を）安置していた」と無罪を主張。1審判決は、被告が遺体を1日以上置いたままにしたことが死体遺棄罪に当たるとしたが、辻川裁判長は「その期間をもって葬祭義務を履行すべき相当の期間が経過したとは言えない」として破棄。そのうえで「遺体を段ボール箱で二重に包み、計十数片のテープで封をし自室内の棚の上に置いて隠匿した」行為は死体遺棄罪に当たると判断した。

　判決後の記者会見で、レー被告は「無罪主張が認められず大変残念。私は子供の遺体を捨てたり隠したりしていない。上告して無罪を実現したい」と訴えた。主任弁護人の石黒大貴弁護士は「高裁が被告の行為を遺体の隠匿と判断し、死体遺棄罪を適用したのは乱暴な理屈だ。1審判決を破棄したことは一歩進んだと言えるが、全く納得できない判決だ」と話した。

　福岡高検の小弓場文彦次席検事は「判決内容を精査し適切に対処したい」とコメントした。

　被告を支援する「コムスタカ―外国人と共に生きる会」（熊本市）の中島真一郎代表は「高裁判決が実習生への支援が不十分だと指摘したことは意味がある。妊娠した実習生が支援を受け、（帰国強要などの）違法行為をした監理団体が処分されるようになるなど、判決が現状を変えるきっかけになってほしい」と話した。

【栗栖由喜、平塚雄太】